湯島ハイタウン・リノベーション

36年前に建てられたマンションのリノベーションです。

クライアントは、老後を快適に過ごすためにリノベーションを行いました。通路幅を十分取り、段差を無くし、車椅子を使用する場合でも移動が楽な動線計画とすること、狭いマンションなので広さが感じられるような間取りとし、広い洗面室・浴室とすること、がご要望でした。上の写真はリビングからエントランスと洗面室の入口を見たところです。

マンションでも明るい玄関を

通常マンションの玄関は、自然光が入らずに暗く、いつも照明が必要なことが多いように思います。そこで、リビング入口の建具をガラス引戸とすることによって、リビングからの自然光が入る明るい玄関にしました。

廊下を無くしメイン・リビングへ直接アクセス

廊下を無くし、部屋から部屋へ直接移動できるようにして、動線を極力短くしました。引戸で空間を仕切り、開放したときに視線が通るようにして、視覚的な広がりを感じるようにしています。

専有部分すべての広さを生かす

専有部分全体の空間が感じられるように、分節された各室を再びつなぎました。具体的には、専有部分の境界となる外壁や界壁と天井を白い材料（漆喰シート）で覆い、仕切り壁は、材料を変えて杉板とし、高さを 1.8m に抑え、ランマを FIX にすることにより視線を通しました。それにより専有部分すべての広さを感じられる空間になりました。

奥のリビング

訪問客が多いので、リビングがふたつあります。ひとつは、玄関から入ってすぐのパブリックな広いメイン・リビング、もうひとつは、プライベートな奥のリビングです。左上の写真は、メイン・リビングから奥のリビングを見たところで、左の白い扉は大きなクローゼットです。右上の写真は、奥のリビングから和室を見たところです。障子の鴨居の上にスリムラインを設置し、間接照明としています。

低い天井を高く感じさせる

古いマンションのためか天井が低く(2.25m)、視覚的に天井が認識されにくいようにフラットな仕上げ（既出の漆喰シート）とし、天井を認識しやすくするダウンライト等の要素を極力設けないことにしました。そのため照明計画は、天井面の反射による間接照明とし、間仕切り壁天端にスリムライン（細い蛍光灯）を設置して天井面を照射することにしました。その結果、天井が実際より高く感じられ、夜はやわらかな光が広がる空間になりました。

中心にあるキッチン

住戸の中央にキッチンを配置することにより、どの部屋からもキッチンが近く使い勝手が良いようです。クライアントによると、和室へもアクセスでき回遊できるので、和室でお茶の稽古をするときも便利とのことです。
キッチン本体は、半分アイランドとし、カウンター上が見えないように腰壁を廻しました。設計当初、クライアントはクローズド・キッチンをご要望でした。図面や模型をご覧になりながら検討していくうちに、それによる圧迫感がよりも視覚的な広がりを選択され、このような半分オープンなアイランド・キッチンになりました。
キッチンは特注です。カウンター収納は開閉の楽なオートクロージング機構の引き出しを基本としています。白いパイプは上下階をつなぐ給排水管とガス管のため、移設できません。PSを作ると狭くなるので、白ペンキでキレイに塗装し現わしとすることにしました。