2005年5月18日
水着と股浅ジーンズの流体力学
先週、水着を買った。私は週1回のペースで市営の温水プールで泳いでいるのだが、今の水着がダメになったからである。何がダメになったかというと、尾てい骨の下付近の生地が薄くなってきて透けてきたのだ。以前の水着もそうだった。なぜだろう?
競泳用の水着を買うのは3枚目である。形は膝上までの股引タイプ。speedoというメーカーのAQUABLADE スパッツという無地の製品で、色はブルー、サイズはM。以前は高級素材だったアクアブレードⅡという水の抵抗が少ない生地が標準となった。なんでもこの生地は、表面のウロコ模様の撥水プリントが非撥水部の流水の速度差が生み出すタテうずの効果で、水着表面上の乱流を抑制することに水着と水に生じる抗力を低減しているのだそうだ。
実は私、大学時代は流体の基礎研究の研究室に所属していた。固体表面に流体が触れる5ミリ程度の流れの層(境界層)に直径2ミリ高さ2ミリの微小円柱を置き、その周りの流れを風洞実験により調べることが卒業研究のテーマであった。そんなわけで、私は微小突起を利用したアクアブレードのような低抵抗素材に興味があるのである。
それだけではない。泳ぎのフォームにも並々ならぬ関心がある。例えばクロールなどの腕のフォームの注意点として「水を手のひらに垂直にかいてはいけない」(しかし子どもの頃、スイミングスクールに通っているときはこのように習った)。なぜなら、手の甲で流体(この場合はプールの水)の剥離が起こり、渦が生じて負圧となるため大きな抵抗が生じるからである。「水は手のひらに対して40度以下でかく」。そうすれば抗力は小さい。そのためトップスイマー達のフォームを解析すると手は左右上下に大きく動かしているが、前後にはあまり動かしていないそうである。要するにプロペラのように手を振り回すのが一番効率がいいのである。流体の性質の知識があるか無いかでスイマーのタイムは明らかに変わるはずである。
ところで、水着は何であんなに股が浅さいのであろうか?ギャルの股浅ジーンズに負けていないほどだと思う。臀は尾てい骨がようやくかくれる程度で、前もようやく隠れる程度の股浅度である。水の抵抗を考えているとは思えない。なぜならイアン・ソープが着ているような全身スーツタイプの水着のほうが抗力が小さいことはわかっているし、全身スーツタイプでは無くても、骨盤よりウエストの方が周長が短いのだから、ウエストの紐のこと考慮すると股が深い方が進行方向に対する投影面積が小さく抵抗は少ないはずだ。露出度が高い方が売れるのだろうか?ナゾである。
ギャルが穿いている股の浅いジーンズは、スタイル良く見えるらしいが、それとは関係ないほど股浅ジーンズのひとを時々見かける。もしかしたら流体力学と関係があるかもしれない。吉祥寺のある有名な中古家具屋の前でしゃがんでいた女性のおしりは完全にペロンとなっていたが、抗力を極めて小さくしたという研究成果の表れだったのかも。これからの季節みなさん気をつけましょうね(笑)
今日の写真 ~ソフト・ハウス その2~
今回はウズベキスタンはフェルガナのアリーナ。舞台にいるのは独立記念日に向けて踊りを練習する高校生たちです。フェルガナ盆地は日本とほぼ同じ人口密度の人口密集地。反政府暴動の平和的解決を祈っています。