2014年12月8日
Raspberry Pi をミュージック・サーバとして使用し始めて 1年が経った。純正のプラスチックケースに入れ、無線 LAN アダプタを取り付けて24時間運用していた。無線 LAN アダプタを取付けて運用していると、USB コネクタの部分がかなり熱くなり、夏に時々熱暴走と思われる現象を起こしていたので心配していたが、再起動してそのまま使用していたところ暑さで死んでしまった。純正ケースは放熱対策があまり考えられていないのである。仕方ないのでもう一台購入し、ケースの蓋を取外して、基盤むき出し状態で使っていた。しかし居間に設置していることもあり見苦しいので熱対策に取り組むことにした。
まずはリサーチ
> google 検索「raspberry pi 熱対策」
- Raspberry Pi の CPU 温度は、下記のコマンドで調べることができる。
# cat /sys/class/thermal/thermal_zone0/temp
- Raspberry Pi 用のヒートシンクが市販されている。
- ケースファンを取り付けている人もいる。
選んだ熱対策
CPU の温度を調べたところ、50°C を超えることが多々あった。夏場は 60°C 以上になったと思われる。
ヒートシンクは多くの製品が販売されているが、多くの方々がヒートシンクだけではそれほど熱が下がらないと報告している。
ケースファンを取付て対策している人もいる。効果はあるらしい。そこで、ヒートシンクとケースファンを取り付けてみることにした。
購入品目
ヒートシンクは、ネットで購入した。ケースファンは、5V 動作の製品がネットで見つからなかったので秋葉原で探したところ、東京ラジオデパート 3階のトモカ電気で発見した。2P ピンソケットは、マルカ電機工業に半田付できるタイプの製品があった。ビスは近所のシマホで購入した。
- ヒートシンク:ビクトリーセブン/Raspberry Pi専用アルミ製ヒートシンク3個セット【メール便可】 > 324円(税・送料込)
- ケースファン:XFAM/RDL4010S5(径4cm 5V, 0.13A) > 432円(税込)
- GPIO 接続用のピンソケット:2P > 30円(税込)
- ビス&ナット:M3 皿ビス、ワッシャー、ナットセット > 98円(税込)
- 合計:884円(税込)
実際の工作
ヒートシンクには、3M の熱伝導性接着剤転写テープらしき両面テープが張られているので、CPU、LANコントローラ、レギュレターICに張る。
ケースファンは、ケース内に何とか組み込めそうだったので、挑戦してみた。ケースファンの形状や取付ビス位置に合わせてドリルやヤスリで穴明けをした。
ピンソケットは小さいので半田付はちょっと神経を使うが、15W 位の半田ごてがあれば問題なく半田付できる。ピンソケットは Raspberry Pi の GPIO No.4(+5V)と No.6(GND)に接続する。
ケース内部にほとんど余裕はないので、ファンの取付は皿ビスで内部から留める。よってナットがケース上部に露出してしまったのは、ちょっと残念だ。
結果と考察
CPU の温度は、28~30°C になった。ファンを停止したときの、CPU の温度は、45~50°C だった。CPU 温度はかなり下がり、ファンの効果は大きい。ちなみに室温は 20°C 前後である。
しかし、別の問題が発生した。ファンの音が気になるのである。XFAN のホームページで使用ファンの型番を調べてみると、ファンの回転数はロースピードらしいのだが、仕様書をみると5000rpm もある。私は、MPD クライアントとして使用しているので、オーディオ向けとしてはオススメできない。
しかし、夏場に熱暴走で破損するよりはマシである。またファンの音が気になるのは、夜中に静かな音楽を聴いているときだけなので、妥協できるレベルだとは思う。
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投稿者:hyodo
2013年12月24日
前回は、Raspberry Pi を使った格安ミュージックサーバのハード構成を紹介した。今回は、Raspberry Pi をミュージックサーバとして使うために私が行った設定を紹介する。ネット検索で参考にさせていただいた HP は大変貴重な情報がある。また参考書として、「Raspberry Pi ユーザーガイド」が役に立った。
raspi-config の設定
私の場合は、raspbian をしばらくグラフィカル・デスクトップ環境で遊んだあと、ターミナルより sudo raspi-config で下記の設定を行った。
- Change User Password > pi ユーザのパスワード変更
- Enable Boot to Desktop/Scratch > ブート時の起動方法を “Text console” に変更
- Internationalisation Options / Change Keyboad Layout > 自動的に設定してくれる
- Advanced Options / Hostname > ホストネームを “MusicServer” に変更
- Advanced Options / Memory Split > GPU のメモリ割り当てを “16” に変更(”0″でもいいのかもしれないが、”16″とした。)
- Advanced Options / SSH > Enable に変更
公開鍵で SSH 認証できるようにする
下記リンクの解説及び設定方法が非常に分かりやすい。SSH クライアントは、PuTTY を使用している。
参考HP > Qaplaの覚書・メモ・備忘録・独言 Raspberry Pi のSSHでファイル認証
LAN の固定IP の設定
sudo nano /etc/network/interfaces で編集
auto lo
iface eth0 inet dhcp static
address 192.168.1.xx
netmask 255.255.255.0
gateway 192.168.1.x
allow-hotplug wlan0
iface wlan0 inet manual
wpa-roam /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf
iface default inet dhcp
無線LANの設定
sudo nano /etc/network/interfaces で編集
auto lo
iface eth0 inet static
address 192.168.1.xx
netmask 255.255.255.0
gateway 192.168.1.x
#コメントアウト allow-hotplug wlan0
#コメントアウト iface wlan0 inet manual
#コメントアウト wpa-roam /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf
#コメントアウト iface default inet dhcp
#以下、無線LANアダプタの設定
auto wlan0
iface wlan0 inet static
address 192.168.1.xx
netmask 255.255.255.0
gateway 192.168.1.x
wpa-conf /etc/wpa.conf
sudo nano /etc/wpa.conf で新規ファイルを作成し、下記を記入する
network={
ssid="<無線LAN機器のSSID>"
key_mgmt=WPA-PSK
psk="<WPAキー>"
MPDのインストール
MPD 公式ページ
参考HP > Raspberry PiをMPD(Music Player Daemon)サーバにする
下記コマンドをターミナルから打ち Music Player Daemon のインストール及び設定を行う。
- sudo apt-get install mpd mpc↵
> MPD と MPC のインストール。MPC は MPD の CLI クライアントである
- sudo service mpd start↵
> MPD を起動する
- sudo nano /etc/mpd.conf↵
> 設定ファイルの変更
auto_update "yes" # 自動的にプレイリストを更新する(コメントをはずす)
#bind_to_address "localhost" # エラーが出る場合(コメントをつける)
mixer_type "software" # 有効にするとクライアントから音量調整可能になる(コメントをはずす)
- sudo /etc/init.d/mpd restart↵
> mpd の再起動
次に USB-DAC へ出力するための設定を行う。USB-DAC の種類は自動的に認識してくれた。
参考HP > SAKURAの独り言:ubuntu studio 12.04でMPD (備忘録)
- cat /proc/asound/cards↵
> USB-DAC のインデックスを調べる
- sudo nano /etc/modprobe.d/alsa-base.conf↵
> USB-DAC をデフォルトのサウンドデバイスに設定するために下記を記述する
options snd-usb-audio index=0
options snd-bcm2835-audio index=1
options snd-usb-audio nrpacks=1
- sudo reboot↵
> Raspberry Pi を再起動する
Samba サーバをマウントする
私は、音楽ファイルを Samba サーバ上に保存している。下記コマンドをターミナルから打ち、Raspberry Pi から Samba サーバをマウントする。一般的な NAS もたぶん同様の設定方法だと思われる。
- sudo apt-get install cifs-utils↵
> cifsマウントユーティリティをインストール
- cd /mnt↵
> mnt ディレクトリへ移動
- sudo mkdir share_music↵
> 音楽データ用ディレクトリ “share_music” を作成
- sudo chmod 777 share_music↵
> パーミッション変更
- sudo mount -t cifs -o user=UserName%PassWord //192.168.1.xx/share/music /mnt/share_music↵
> samba サーバー上の共有音楽データ・ディレクトリをマウントする
- ls /mnt/share_music↵
> 共有音楽データ・ディレクトリがマウントされたか?を確認する
- sudo ln -s /mnt/share_music /var/lib/mpd/music/↵
> mpd の music データフォルダにシンボリックリンクを作成
- umount //192.168.1.xx/share/music↵
> 共有音楽データ・ディレクトリのアンマウントする
次に、共有音楽データ・ディレクトリを起動時に自動的にマウントする設定を行う。
- sudo nano /etc/fstab↵
> fstab に追記することにより、起動時に自動的にマウントするようにできるらしい。
//192.168.1.xx/share/music /mnt/share_music cifs username=UserName,password=PassWord
- しかし、再起動しても自動的にマウントされなかった。sudo mount -a を実行すれば、マウントされる。しかたないので、sudo nano /etc/rc.local を実行し、exit 0 の直前に mount -a を追記した。rc.local は起動時に最後に読み込まれるファイルとのこと。
目覚ましとして使う
Raspberry Pi も USB-DAC 内臓のプリメインアンプ Topping/TP23 も電源スイッチが無いので、電源は 24時間入れっぱなしである。待機電力も電気代を気にするほど大きくないようだ。そこで目覚ましとしても使うことにした。
sudo crontab -e で cron を編集する。下記のように mpc コマンドを追記した。
# Everyday
10 5 * * * /usr/bin/mpc volume 100
15 5 * * * /usr/bin/mpc clear
20 5 * * 1-5,7 /usr/bin/mpc load NHK-R1
20 5 * * 6 /usr/bin/mpc load NHK-FM
#
#
# For Weekday
30 5 * * 1-5 /usr/bin/mpc play
#
#
# For Saturday Weekend Sunshine
20 7 * * 6 /usr/bin/mpc play
#
#
# For Sunday Ongakuno Izumi
55 7 * * 7 /usr/bin/mpc play
mpc コマンドの使い方は、mpc help で表示される。一応下記リストに解説する。cron のスケジュールについては、「cron スクリプト 書き方」などで検索すると親切なサイトが多くある。
以上、思ったよりも快適に使えている。仕事場のリスニング環境は、デスクトップ Win7 + foobar2000 + TEAC/A-H01 + 自作スピーカー(長岡鉄男/BS-84、Fostex/FF105WK)であることは以前の記事「foobar2000 で NHK ネットラジオを聴く」で書いたとおりだが、こちらの更に安価なシステムの方が音質も良い。
関連記事 > 「Raspberry Pi で格安ミュージックサーバを作る~その1~」
タグ:PCオーディオ, Raspberry Pi
カテゴリー:コンピュータ, 音楽 |
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投稿者:hyodo
2013年12月17日
Raspberry Pi という ARM 系小型コンピュータの存在を先月に知った。一年半ほど前は結構話題になっていたらしい。とにかく安いので何をするかあまり考えず買ってみた。OS は、複数の Linux ディストリビューションを切り替えてブートできる NOOBS をインストールし GUI 環境で遊んでいたが、結局 Raspbian しか使ってない上に HDMI 入力端子のあるモニタが事務所に 1台しか無いこともあり、GUI で使うのはやめて SSH を設定して、PuTTY で Win7 から、もしくは ConnectBot で Android から接続して弄くるようになった。そうこうしているうちに Samba サーバを立てて事務所のデータバックアップを自宅でも行い、地理的冗長性を担保しようか?防犯カメラにしようか?など具体的に役に立つ利用方法を考え始め、最終的にミュージックサーバを作ることにした。理由は、事務所の音楽再生環境(Win7 + foobar2000 + TEAC/A-H01 + 自作スピーカー(長岡鉄男/BS-84、Fostex/FF105WK))が先月整い、費用の割りに音質が良く、操作性も快適なので、自宅でも同じような環境を作ってみたくなったのだ。事務所の再生環境については、「foobar2000 で NHK ネットラジオを聴く」を参照されたし。
自宅は 2DK アパートに妻と子どもの 3人暮らしなので、また Raspberry Pi のスケールに合うように、事務所の機器よりも小型にすることにした。またできるだけ安く、良い音を得られることを目標にした結果、上記の写真のようになった。下記に機器をリストアップする。
機器リスト
ミュージックサーバ
- 本体:
- Raspberry Pi Type B
> 4,379円
- SDカード:
- Amazon限定 Transcend SDHCカード 8GB Class10
> 952円(最近は、4GB の方が高かったりする)
- ケース:
- Raspberry Pi Clear Case
> 1,660円
- USB電源:
- Docomo/AC アダプタ 04
> 0円
※ これまで使い道の無かった Docomo ポイントを使って無料でGET!
- USB無線 LAN アダプタ:
- PLANEX/GW-USMicroN2W
※ 事務所で余っていたもの
- OS:
- Raspbian (2013-09-25 版)
> Free!
- Apr:
- Music Player Daemon (MPD) 0.18.5
> Free!(スミマセン、Raspbian にインストールされるのは、ver.0.16.0 でした)
プリメインアンプ
- USB-DAC 内臓
プリメインアンプ
- TOPPING/TP23
> 7,350円
アンプ部:25W@4Ω,約14W@8Ω
DAC 部:16Bit/48kHz
スピーカー(自作)
- ユニット:
- Fostex/FF85WK ×2本
> 6,550円
※コイズミ無線のセールで購入
- エンクロージャ:
- バスレフ方式、3.5L
※ 取説付属の推奨エンクロージャの寸法を既製板材の規格に調整し、スリットダクトにしたもの。吸音材は家に大量にあったコットンパフをエンクロージャ内部 3面に貼った。
※ この方のホームページのエンクロージャが美しく製作されていたので、真似してみました。
- エンクロージャ材料:
- ラワンベニヤ 12t + エゾ松 180w×14t×1800L + カット代 + AEPカラースプレー
> 3,870円
- スピーカーケーブル:
- 九州電気/OFC 0.12mm 素線多重ツイスト構造、0.75SQ 5m 購入
> 945円
※ターミナルを設けずユニットに直結
- 費用合計
- 25,706円
Topping/TP23 という製品は「USB-DAC 内臓 プリメインアンプ」と検索して探し出した。私が知りうる限り最安の製品である。TEAC/A-H01 を購入した頃は、その存在を知らなかった。スペックは TEAC/A-H01 より DAC、アンプの出力共に低いが、価格は 1/3 である。
電源スイッチは付いてない。コンピュータの電源とリンクして自動的にON/OFFする。寸法も小さく Raspberry Pi を上に乗せるとちょうど良い。Topping というメーカーは中国のメーカーらしいが、自社ホームページはなぜか見つからない。
音はフルレンジ一発のスピーカーとの組合せということもあり、ミニコンポや、Bose のアンプ内臓スピーカーのように変な味付けされた加工は行われていない感じで、ピュアオーディオと言える。クリアな音質で定位が良く分解能も結構高い。ソナタなどの曲では、プレイヤーの動作や息遣いまで小音量でも感じる。低域が物足りないのはやむを得ないが、8cm ユニットで 3.5L のエンクロージャにしては結構出ている。
MPD の操作は、Android から MPDroid で行っている。Win7 からは、GMPC 又は SkyMPC を使用しているが、foobar2000 の使い勝手のようにはいかない。foobar2000 が MPD クライアントとして使えると最高なのだが・・・・。
約25,000円でこれだけの品質と操作性が手に入るのは嬉しい。
じっくりと音楽を聴く機会が増えた。
上の写真は、エンクロージャが完成するまでの間、とりあえず鳴らすために作った段ボール・エンクロージャ。かなり残念な音だったw。バスレフ・ダクトも付けたり、内部を補強したり石やタイルを詰め込んだりしたのだけど、箱鳴りがひどく、密閉にしてもあまり変わらなかった。そもそも密閉できていたかも疑問。
次回、Music Player Daemon (MPD)を稼動させるまでの Raspberry Pi の設定を紹介したい。
関連記事 > 「Raspberry Pi で格安ミュージックサーバを作る~その2~」
※追記: Raspberry Pi Model B+ (Plus) が出ましたね。
タグ:PCオーディオ, Raspberry Pi
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投稿者:hyodo