2004年11月19日
草間彌生のデミタスカップ
ときどき、エスプレッソを入れる。カフェ・ナポリターナで入れる。豆はカルディーのアイスブレンド。確か200g430円。確か豆を挽く粒度は5番。火にかける。お湯が沸く。ポットをひっくり返す。お湯がフィルターを通る。コーヒーが落ちる。全部落ちる。ポットに溜まる。草間彌生のデミタスに注ぐ。
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ある日、母から携帯に電話がかかってきた。
「もしもし」
「あんた、ちょっと」と母。
「どう思う?」
「何が?」
「コーヒーカップ!」
「何?今ね忙しいんだけど」
「草間さんの」
「何のこと?」
「あるのよ」
「・・・・・」
「1脚3万なんだけど・・・」
ようやく話が飲み込めてきた。そこでたずねる私
「で、エディション付いてるの」
「エディション?150脚限定でちゃんと番号がついてるのよ」
「そう、だからそれのこと。それがエディションだって」
「それでね今3種類あるの。どれにしようかしら?」
「さあね。全部買えば」
「そうね。そうよね、そうすればいいんだわね」電話切れる。
そうして母は本当に全部買ってきた。
それらは白地に赤い網目のカップ、黒字に白玉すだれのカップ、黄色地に不規則な黒水玉のカップの3脚であった。
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デミタスに砂糖をたっぷり入れる。ちょっとだけかき混ぜる。少し飲む。全部飲む。溶けかけの砂糖がカップの底に溜まっている。スプーンですくう。なめる。これが旨い。