2005年2月8日
シフォンケーキ・冥捜編
4日前、ショコラシフォンを初めて焼いた。少し難易度が高いシフォンのようなのだが、先日良いココアパウダーを手に入れたので、挑戦してみることにした。きっかけは昨秋、銀座1丁目の裏通りにある感じのよい小さなフレンチ・レストランで食事をしたとき、デザートに選んだショコラシフォンが気に入ったことだ。シフォンは3番目に出されたデザートだった。しっとりとして口の中で溶けるように仕上がっており、もう満腹だったのにもかかわらず、ペロンと食べてしまった。(ちなみにこのコースではデザートが4品も出てきた)
『あんなショコラシフォンをいつか焼いてみたいな』と私は野心を抱いたのだった。
マイ・リスペクト赤堀レシピ(しっとりシフォンケーキ、赤堀博美 著、別冊家庭画報、無聊ブックスを参照してください)によると、薄力粉とココアの使用する量はは同じであり、かなりココアの分量が多い。更にチョコレートオイルも入れるとある。しかしチョコレートオイルは材料が手元になかったので、ココアだけで作ってみることにした。
メレンゲと混ぜる前の生地の味は良く、このままでもなかなかおいしかった。ただし、プレーンシフォンの生地と比べると、ココアの影響でかなり粘度が高く、空気が残って焼いたときに空洞にならないかどうかや、きれいに膨らむかどうか心配だった。メレンゲはいつもより泡が均一になるように十分気を付け、丁寧にホイップした。そしてすばやく、しかしキチンと生地とメレンゲを混ぜ合わせ、注意深くシフォン型に流し込んだ。180度に余熱したオーブンに生地を流し込んだシフォン型をいれて、タイマーを37分にセットし、温度を170度に下げた(赤堀レシピの秘密のひとつ)。
オーブンに入れて焼いている間、家中がチョコの甘い匂いが充満した。ひと息ついたので、ボールに残っていたクリーム状の生地をしつこくゴムへらでかき集めて、意地汚く舐めたりして私は悦に浸った。その作業が終了すると、今度はシフォンがふんわりしっとり焼けるか心配になってきた。が、あとは待つよりしょうがない。しばらくするとその心配も忘れて、思い出に耽けっていた・・・・・・。
『オリーブ・モデル出身の「ショコラ」って歌手がいたよなぁ。年初めに靖国通り沿いの雑誌専門古書店に立ち寄ったとき、古い「Olive」がたくさんあったので、つい探してみたっけ・・・・・・。
くっちぶえでーーこいをしっよぉかなぁーー♪♪
(口笛で恋をしようかな)
『これはデビュー曲だったかな?昔、長い間海外旅行したときに持っていったカセットテープの中に、友人が選曲してくれたテープが1本あって、その中にこの曲が入ってたっけ。
そのテープには小沢健二も入ってたなぁ・・・・・・。
あのぉーひとのーゆめぇーをみて、きょうもーべっとのぉーなかー♪♪
(あの人の夢を見て、今日もベットの中)
『旅行中はそんな日々を送っていよ。
意外にも広末涼子の歌が入っていたぞ。なんでだ?
わんっ、つー、わんつーすりーふぉー♪♪
(ONE, TWO, ONE,TWO,THREE,FOUR!)
『そういえば、その友人はなぜか広末ファンだったっけ。
他には、大滝泳一もあったっけな。
こんやっきみはーぼくのものー♪♪
(今夜君は僕のもの)
『しかし、彼の選曲はすごい。こうして思い返してみると、起承転結があるみたい、物語になっているよ。繰り返し聴いていたから、今でもよく憶えているし、いつ頃、旅行していたか、わかる選曲だなぁ・・・・・・他に何が入っていたかなぁ・・・・・・』
ピーーー
オーブンのブザー音が鳴った。
ショコラシフォンは焼き上がり、オーブンから取り出し、シフォン型を逆さにして、よく冷ますため夜までキッチンに放置した。焼きあがった後も家の中はしばらくチョコの甘い匂いがしていた。
夕食後型抜きしてみると、空洞も無くキレイに焼けていた。色もキレイな濃いチョコレート色。しっとりとして口の中で溶けるように仕上がっていた。
母:「かなり大人の味ね」
hyodo:「甘さ足りない?」
母:「生クリームを添えたほうがいいかも」
hyodo:「味が足りない?チョコレートオイルを入れなかったからかな?」
母:「まあ、おいしいよ・・・・・・」
hyodo:「・・・・・・」
確かに何か足りないな、と私も思った。今度、製菓用チョコレートを買ってきてもう一度挑戦しよう。でも、それだけだろうか?
しばらくして、あのテープに「ある光」が入っていたことを思い出した。
※バルコニーの写真は今回が最後です。次回シリーズもお楽しみに!!