2009年6月19日
最北のモスク
世界最北のモスクだそうです。場所はサンクト・ペテルブルグ、アレクサンドロフスキー公園の東側脇にあります。『ロシア建築案内』のデータは下記
1882年 計画が持ち上がる。
1906年 モスク建設委員会設立(後に首相となるP.ストルィーピンとブハラ・ハン国王より資金援助)
1907年 ニコライ2世、モスク建設許可
1908年 設計コンペ開催。N.ヴァシーリエフが「チムール」「アラベスク」の2案で1位、2位獲得。実施案は2案の折衷。
コンペ案「アラベスク」のドローイングが『ロシア建築案内』に載っているのですが、これが面白いです。ミナレットは1本のタワーに集約され、メインドームのフォルムも実施より更に縦に長く、小さなドームも合わせた全体のバランスが東方教会的だったりします。
建物正面の写真を撮ろうとしたら、逆光な上太陽高度も低い(8月です)ので、ミナレットに太陽を隠して撮影。このモスクのメインの入口(イーワーン)は東側(写真右側面)です。ここまで書いてミフラーブの方位はどちらになるのかグーグルマップで調べたところほぼ真南がメッカになるんですね。
メイン・イーワーンです。前の写真の正面は北立面ですが、右側面の東立面を見ると、どのようなバランスでこのイーワーンがあるのかわかると思います。シンメトリーではなく、東立面の左側すなわち北東角になります。日本では丑寅の方位で鬼門ですね。このモスクの東側は、トロイツキー橋につながるカメノオストローフスキー大通りに面しており、ミフラーブは南になるので、北東をメイン・イーワーンとしたのでしょう。
ドームには襞がありゴージャスです。襞付きドームはウズベクのビビ・ハーヌムなどにもありますが、フォルムがどのドームより高くそれでいて尖塔型ではないので珍しい気がします。内部は公開されていなかったので、泣く泣くモスクを後にしました。当然ながらソ連時代は全く使われていなかったと思いますが、現在信者はどうしているのでしょうか?