2008年12月9日
ヴィルヘルム・ハンマースホイ展
12月7日まで、国立西洋美術館にて開催。電車の車内吊広告が気になっていたので、観に行きたいと思っていた。
なぜ気になったのかというと、
- フレーミングが写真表現のように決まっていること。
- 個人的内面が強く表れ、19世紀末の絵画の表現形式と少し異なっていたこと。
- 内田善美の「星の時計のLiddell」に出てくる幽霊屋敷のような静かな人の気配が感じられたこと。
わかったこと
- 実際の画面はもっと大きく、トリミングをしている。作品によっては、絵の具によるトリミング・ラインが残っている。完成作品は枠から一度はがし、再度張っているため、直線が歪んでいることがある。要するにタブローは、描きこんだ習作の一部であるということである。
- 写真を元に絵を起こすことも多い。
- 作品の大半は、自宅の「室内」か「室内と妻」を描いたものであるということ。しかも同じ場所を同じ構図で何度も描いた。海外旅行は結構行っていたらしいのだが、旅先ではほとんど描かなかった。
- 内装や什器がシンプルなビクトリアン様式であること。3と4が「星の時計のLiddell」っぽい。
- 壁や床を描く筆のタッチが微妙である(一流の画家ならあたりまえだが)。繊細だが曖昧な筆使いから材質や光や空間を感じとれる。
- 画面の色数が少なく、ほとんどモノクロと言ってもよいのでは?と思う。
- 常に空間の抜けを意識して室内を描いていること。
- 暗い部分や影となる部分は、絵具をほとんどのせない。カンバス地が見えていることもある。これは実に興味深いことで、人間の眼の特性を生かした暗い部分の圧縮率が高い画像フォーマットJPEGのようであるし、カンバス地が見えるというのは、デジカメで長時間露光した時のノイズのようである。
平日の午前中に観に行ったのですが、展示最終週であったために、美術館は混んでいました。もっと早めに観にいけばよかったです。
今日の写真
ハンマースホイの作品のように、誰もいない静けさの漂う室内写真を探しました。中央アジアのフェルガナ盆地にある街コーカンドのホテルの部屋。4年前に行ったのですが、1泊5$だったと記憶しております。コーカンドは18~19世紀に栄えたイスラム都市で、街路が入り組んでいるので、旧ソ連時代のまっすぐな道路から少し外れると、どこに居るのかわからなくなります。