2014年8月の記事

2014年8月18日

AutoHotkey を利用したトーンダイヤラー

トーンダイヤラー 又は DTMF ダイヤラーというものをご存知だろうか?

プッシュホンの音(DTMF。ピ・ポ・パというやつ)で電話をかける機器やソフトウェアのことである。10年以上前、仕事で Mac OS 8 くらいを使っていた頃、トーン発信機能が付いている電話帳ソフトがあり使っていた。その後、独立して設計事務所を開いてからは、 PC 環境が Windows に変わり、携帯電話を使う機会が多くなったこともあって、必要性を感じなくなっていた。しかし、官公庁やメーカーに問合せたりするときは、通話時間が長くなる場合もあるので、固定電話から掛けたい。その時にホームページに記載されている電話番号の脇にボタンがあってクリックすると電話が掛けられると便利そうだ。Skype をインストールすると、ブラウザ上の電話番号表示がボタンに変わり、ワンクリックで SkypeOut 通話できるようになるが、このよう感じでトーン発信できるソフトウェアはないだろうか?

そんなことを考えながら、トーンダイヤラーできるソフトウェアを探してみると、今では皆無で、あっても発表時期がかなり古い。見つけたものを列記する。

上記ソフトウェアをインストールしようか?どうか?迷いながら、ソフトウェアとして独立している必要はないので、Chrome の拡張機能のようなものは無いか?と探したが、無かった。その昔、独立した機器として存在したらしく、シャープやカシオ、ソニーなどでも作っていたようだ。現在は作られていないらしい。しかし、少しは需要があるらしく、Android アプリでいくつか見つかった。

実はスマホは所有していないので PC で使用できるソフトウェアが欲しいが、もし良いものがあったとしても電話帳を新たに作ったりするのは面倒だ。簡単なものでよいので、自分で作れないかとちょっと考えたり調べたりしてみた。

  • プログラムするとした場合の流れは、(1)ブラウザなどのドキュメント上の電話番号(数字)を選択し、(2)ホットキーでダイアログを表示し、(3)OKボタンをクリックすると (4)トーン信号を発信する、という流れになりそうだ
  • AutoHotokey の GUI と サウンド関数で上記は簡単にできそうだ。
  • トーン発信音は、ソフトウエアDTMFコントローラというソフトで作成できる。

そこで、上記を実現する AHK スクリプトを作成した。使用方法は、PC のスクリーン上の電話番号を選択した状態でホットキーを押す。すると下図のようなダイアログが表示されるので、OK ボタンをクリックすると、ピ・ポ・パとトーン信号を発信する、それだけである。電話帳を作る必要もない。

tonedial.ahk の GUI

ダウンロード > tonedial.zip

中身を見ていただければわかるが、2 byte 数字も有効にしてある。しかし、選択文字が電話番号として成り立つか?は判定していない。

私は、普段使用している AHK スクリプトに下記のようにインクルードし、ホットキーを Ctrl + Space キーにしている。


#Include tonedial.ahk		;tonedial.ahk の読み込み

^Space::tonedial(80)		;トーンダイアルのホットキー

AutoHotkey を導入している方が対象になりますが、興味がありましたらお試しください。下記に情報サイトを列記します。

Total Commander 備忘録

tc-ss
昨年の 1月より、Windows 環境のファイルマネージャTotal Commander を使っている。使用開始時のバージョンは、8.01 で、今年の 4月に 8.51a がリリースされていたので、盆休みにアップデートした。

ファイルマネージャは、PC 上での作業をする際、全ての入口となる重要なアプリケーションである。Total Commander 使い始めて 1年半になるが、使いやすく気に入っている。たまに他人の PC などを使って Windows Explorer で作業しなければならないときなど、ファイル操作が煩わしくて死ぬかと思うほどである。どうして以前は Windows 標準のエクスプローラなんか使っていられたのだろうか?これまでの経緯と考察、設定の備忘録を残しておくことにする。

Win 標準のエクスプローラは効率が悪いことに気が付いた

コピーや移動のたびに複数の Windows 標準のエクスプローラを開く行為は、かなり面倒だ。またエクスプローラを起動するたびに、作業フォルダにアクセスするのも面倒。もちろん「お気に入り」に登録しておけば、すぐにアクセスできるが、サイドバーが「お気に入り」であふれて使い難くなる。

ファイル管理は、もっとも基本的な操作である。それを「面倒だ」感じるということは、きっと効率が悪いのであろう。プライベートでも仕事でもかなり無駄な時間を使っているに違いない。

タブ切替え 2ペインのファイルマネージャ

ウェブブラウザのようにタブで作業フォルダを切り替えられると便利かも・・・・SFTPクライアントの WinSCP の外観は、ローカルとリモートが比較しやすいように 2ペインを選択できるようになっているが、ファイルマネージャも同じような外観になっていると使いやすいだろうなぁ・・・・と思いながらタブ切替え 2ペインのファイルマネージャ探してみたところ、いくつか見つかった。

どれも初めて知る名前のアプリケーションばかりだった。ファイルマネージャは、現在ではあまり注目されない分野かもしれない。しかしマニアックで機能豊富なソフトウェアが多いことも分かった。

上記のリストのファイルマネージャをいくつか使ってみた。最終的に、海外のシェアウェアだが一番歴史が古い、Total Commander を使うことにした。決め手は、

Total Commander の設定

― インストール ―

Download Total Commander 8.51a final から、インストーラをダウンロード。8.01 までは、32bit バージョンを使用していたが、今回から 64bit バージョンを使ってみることにする。インストール方法は、ダウンロードしたインストーラをダブルクリックする。

私は、事務所と自宅の PC 環境を揃えているので、Dropbox にインストールした。しかしながらユーザデータのロケーションは、標準の

c:\Users\username\AppData\Roaming\GHISLER\

に設定している。また、Installer for USB sticks というページに USB メモリにインストールする方法がある。

― 日本語化 ―

標準のインストーラでは、日本語は含まれていないので、別途日本語化キットが必要になる。Additional languages より Japanese をダウンロードする。ファイル名は、”wcmd_jpn.zip”である。Total Commander を起動し、”wcmd_jpn.zip”を選択後ダブルクリック又は Enter キーを押すと、日本語化キットが自動的にインストールされ、メニューやオプションの設定項目が日本語になる。

日本語チュートリアルが公式サイトにある。

― SFTP の設定 ―

プラグインの追加で SFTP 接続ができる。普段は WinSCP を使わなくても良い。Pageant も使える。
File system extensions (plugins) より SFTP をダウンロードする。ファイル名は、”sftpplug.zip”である。Total Commander を起動し、”sftpplug.zip”を選択後ダブルクリック又は Enter キーを押すと、自動的にインストールされる。

次に別途 SSL 関連の DLL ファイルを下記より入手する。

  • 入手先 > cURL – Download
  • 必要ファイル > MinGW64 7.34.0 devel SSL SSH Günter Knauf 2.18 MB
  • ファイル名 > curl-7.34.0-devel-mingw64.7z

上記のファイルをダブルクリック又は Enter キーを押すと、解凍せずにアーカイブファイル内を閲覧することができる。(8.01 の 32bit 版では、7z 用のプラグインが必要だったはずだが、8.51 の 64bit 版では、7z 用のプラグイン無しで解凍できた。)curl-7.34.0-devel-mingw64.7z\bin 内より下記 DLL ファイルを Total Commander のプログラムフォルダ \totalcmd\plugins\wfx\sftpplug にコピーする。

  • libeay32.dll
  • libssh2.dll
  • zlib1.dll

使い方は、カレントディレクトリの表示欄に下記のように打ち込むと、SFTP 接続モードになる。

\\\Secure FTP\

F7 キーで新規接続先を追加、Alt+Enter で接続先情報編集、ダブルクリック又は Enter キーで接続である。Pageant を使用しての鍵認証に対応している。

― 便利な使い方 ―

タブ切替え、2ペインであること自体が、とにかく便利である。私の場合、下記のような点や機能が便利に思っている。

  • ボタンバーにコントロールパネルや、デスクトップ、スタートアップフォルダを登録
  • エディターなど、よく使うアプリケーションの登録
  • プロジェクト毎のアイコンを作成し、ボタンバーにフォルダを登録
  • ファイルの複数リネームで置換や連番を付けたりするとき
  • ファンクション・キーでの画像やテキストの表示やファイル操作
  • パス名を含めた名前をクリップボードへ
  • などなど

コントロールパネルのコマンドは、

control

プログラムの起動のコマンドは、EmEditor の場合

"C:\Program Files\EmEditor\EmEditor.exe"

フォルダー表示のコマンドは、デスクトップ の場合

cd c:\users\username\desktop\

ルート表示のコマンドは、

cm_OpenDrives

SFTP 接続のコマンドは、RaspberryPi に接続の場合、

cd \\\Secure FTP\RaspberryPi\

― シェアウェア ―

Total Commander はシェアウェアである。価格は、US$44 もする。しかし、Windows がある限り使い続けることを考えれば、Office や Adobe CS を購入するよりずっと確実な買い物であると思う。Paypal での支払いが可能だ。メールや Fax での購入にも対応してくれるようだ。

購入後、ライセンス・キーがすぐにメールで送られてくる。また、プログラムの入った CD-ROM が郵送で届く。なぜこんなレガシーなサービスがあるのだろうか?と思ったが、OS の新規インストールや PC のメンテナンス等でネットに接続されていない環境で必要なときがあるだろうから、そのためのサービスなのだろう。

ちなみにライセンス・キーが無くても使用できる。キーが無いと、起動時に購入を促すウィンドウが表示される。

ホームページは非常に簡素で、レガシーで、スクリーンショットも無いのだが、それが好ましく感じる。

― Android 版 ―

Android 版があり、こちらも愛用している。LAN や SFTP プラグインがあるので、LAN 内のファイル操作、SFTP 接続も可能だ。Android 版はフリーである。

最後に

この記事を書くために、ファイルマネージャについていろいろと調べていたところ、MS-DOS 時代に愛用していた FILMTN と、元祖ファイルマネージャといわれる Noton Commander クローンが、現在も開発され続けていることを知って驚愕した。と同時に DOS 時代のファイルマネージャは使いやすく、カスタマイズもしやすかったことを思い出した。

  • WinFM2008 > FILMTN のWindows 版後継ファイルマネージャ。シェアウェア
  • Far Manager > Noton Commander クローン。SFTP 接続用のプラグインもある。

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2014年8月8日

「戦後日本住宅伝説」展に行ってきました

水無瀬の町家
埼玉近代美術館で開催されている「戦後日本住宅伝説」展に行ってきました。行ったのは7月中旬なので、ブログに投稿するには、ちょっと間があいてしまいました。

建築設計をする者であれば、この展覧会で取り上げられている住宅で知らない住宅は無いでしょう。さまざまな書籍等で何度も登場している作品ばかりなので、写真はどれも知っているショットでした。それでも詳細図や新たに各大学の研究室で製作された精巧な模型は、どれも見る価値がありました。また有名なショットが巨大なタペストリーになっているのも良かったです。上の写真はその巨大なタペストリー(坂本一成の「水無瀬の町家」のファサード)の前に立つ息子です。

新しい発見としては、丹下健三の自邸「住居」が美しかったです。図面や写真だけでは理解できていませんでした。模型を見てこの作品の風が通るような軽快さがわかりました。

他にも発見がありまして、原宏司の自邸「原邸」坂本一成の「水無瀬の町家」、どちらも図面の寸法が本当に本当に参考になります。他にも「スカイハウス」ってバルコニーの窓の沓摺が浮いていて、FIX になっていたんですね、とか、「松川ボックス」の傾斜天井と天窓と庭に面する窓の関係 etc…..

中野本町の家
上の写真は、伊東豊雄の「中野本町の家」の室内写真の巨大なタペストリーの前に立つ息子です。中庭への開口部の取り方の関係で単にU字形ではないんですよね。これも発見でした。

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