2009年5月27日
本日のNHKクローズアップ現代「そして、ローンだけが残った~相次ぐ住宅メーカーの破たん~」を観た。番組で大きく取り上げられた経営破たんした注文住宅メーカー富士ハウスとアーバンエステートの2社の負債総額は 70億円で、未完成住宅は 2,500軒という大規模な被害が生じた。ちなみにアーバンエステートは、僕が住んでいる川口に本社のあった企業であり、いやが上にも興味深く番組を観ることになった。
問題とされていたのは、この2社が、着工前に住宅の工事費全体の8割以上を施主に前払いさせていたことである。工事費全体の5%を値引きすることによって前払いを誘導していた。2社の経営破たんにより、着工前もしくは着工後間もない状態で工事がストップしているにもかかわらず、工事費全体の8割以上を施主が負担することになってしまった。
番組でも説明していたが、住宅の工事費の支払いは、下記のように行われるのが普通である。(かっこ内は総工事費を2,000万円とした場合の例)
・契約時 1割(200万円)
・着工時 3割(600万円)
・上棟時 3割(600万円)
・竣工事 3割(600万円)
このように支払われていれば、リスクはある程度分散されるが、2社は、契約時に8割~10割(1,600万~2,000万円)を前払いするよう値引きにより誘導したために、被害が深刻になってしまったわけである。
ちょっと気になったのは、キャスターの国谷裕子が、「この支払方法は商習慣の悪用であり、そのために今回のような被害が生じた」という趣旨の発言を繰り返していたことである。国谷キャスターは博識で公正で大変優秀な方だと思うが、この件に関しては大きな勘違いなさっていると思う。この事件は、上記のような住宅工事の一般的な支払い方法をしなかったために被害が大きくなったのである。ちなみに昨年秋の金融危機の際にマンション・ディベロッパーの破たんが相次いだ時に問題となったのは、今回の問題とは逆であった。マンションの売れ行きが好調だったころディベロッパーはゼネコンに対して次のように支払いをしていた。
・着工時 1割
・上棟時 1割
・竣工事 8割
ディベロッパーは支払い時期をシフトすることにより、本来工事費の支払いに充てるべき資金を投資に回して稼いでいたのである。しかし投資していた資金が金融危機で目減りしてしまい、ディベロッパーは工事費を支払えなくなり倒産してしまった。そして中堅ゼネコンは工事費が回収できなくなり、連鎖倒産するケースが生じた。先の住宅メーカーとは支払いの比重が逆だが、どちらにも共通するのは、極端な支払い時期の偏りがこのような悲惨な状況を生み出しているのである。
国谷キャスターは、「完成後に全額支払いが当たり前」ともとれるようなニュアンスを含ませていた。確かに消費者のリスクは完全に回避されるだろうが、それでは工事側は立ち行かなくなるか、建設費が高くなり、消費者にとって住宅建設の負担は増すだけだろう。ゲスト出演していた住宅工事訴訟問題の弁護士の犬塚浩氏は、「住宅は価格が高いために、(1割+3割+3割+3割という)支払いの慣例は致し方ないというより妥当である」という趣旨の発言をしたので、番組は、公正さを欠く情報に偏らずに済んだ。
さて、このような悲劇を回避する方法として、番組では次の2つを紹介していた。
・完成保証制度の利用
・出来高払いでリスクを減らす
完成保証制度は、保険料が掛かるのはしょうがないとしても、工事会社が倒産した時に保険金が受け取れる条件が厳しく、そのような事態が生じた場合、必ずしも施主の負担が軽減されない、と番組では言っていたが、僕もそう思う。
出来高払いで 5回くらいに分けて支払うのは、消費者と工事会社の双方にとって、負担やリスクを軽減できる最良の方法だろう。番組ではコンサルタントに依頼するために、工事費の1%が施主の負担となると言っていた。
僕が設計事務所を経営しているので、いささか宣伝になってしまうが、注文住宅の計画の場合は、住まい方、趣味など気の合う建築設計事務所に依頼することをお勧めする。まともな事務所であれば、綿密な打ち合わせとプレゼンテーションによって、これから立てる家を十分シミュレートできるだけではなく、工事会社を競争入札や出来高払い等の支払い方法の条件付けによって選定することも含め、資金計画、構造・設備計画等コンサルタント的な業務もできるからである。最近は設計事務所の敷居も低いし、大抵相談料は無料なのでまずは相談してみてるのはどうだろうか?特に注文住宅の計画は設計事務所へ依頼することにより、今回の悲劇のようなリスクは回避できる。
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投稿者:hyodo
2009年5月20日
USBターンテーブルを購入するに至るまで
事務所の棚の一角を占めるレコードを処分しようと決心し、どこに売るのが一番お得なのか?ネットを調べたり、友人に尋ねたりしていたのだが、せっかく集めた音源なのでただ処分するのはあまりに寂しい(惜しい、悲しい、無念?様々な感情が入り混じる)ので、せめてジャケの写真は撮っておこうと、200枚ほどをホワイトスチレンボードを背景に、和紙スクリーンで室内に差し込む光を拡散させて、1日がかりで撮影した。1枚1枚はたきで埃を落としてから撮影し、ジャズ、ジャズ・ボーカル、ボサノヴァ、サントラ、オルタナティヴ・ロック(昔は New Wave と言われていた)、60’s と売りやすいようにジャンル分けもした。そうして撮影したジャケ画像をPCでスライド・ショーにして眺めていると、ジャケ全体のデザイン・コンセプトが明快に見えてくると同時に、手に持って眺めるときには気がつかなかったオーラとも言うべき経年変化がなぜかデジタル画像は写しだしていることに気が付いた。複製技術によって生まれたレコードは量産されることによってアウラを喪失しているはずだが、個人の手に渡った後は「時間と空間が縺れ合って、(中略)一回限りの現象」(ベンヤミン『複製技術時代の芸術作品』)がオーナーとレコードの間に生じるのかもしれない。・・・・・・といった感じにセンチメンタルに浸りながら哲学する自分を楽しんだし、さっさと売ろう!と決心してみるのだが、ジャケ画像を眺めていたら音も聴きたくなってきたので、ターンテーブルを買ってPCに録音してからレコードを売ることにした。
レコードプレイヤーを選ぶ
父からもらったテクニクスの SL-1200(初代!)を持っていたのだが、10年ほど前からレコードを買うことはなくなり、更に5年前にフォノアンプが壊れからレコードを聴いていなかったこともあり、昨夏に事務所を改装した際に SL-1200 は処分してしまった。なのでレコードを聴くためにはターンテーブルを新規購入しなければならない。「今どきレコードプレイヤーを買う人なんているのかな?」と思いながらアマゾンを検索してみると、驚くことにかなりの種類の製品がある。SL-1200 は Mark6 が出ているし、Vestax、ソニー、デノンなども継続して製品を供給している。売れ筋は、1万円前後のフォノアンプ内蔵の安価なプレイヤーで、ラジカセなどのAUXに接続すればフォノアンプが無くても聴くことができる製品である。このランクの製品にはPCへの録音が手軽なUSB接続できる製品が最近出てきている。僕の PC にはミニジャックの内臓サウンド・カードしかないが、フォノアンプやオーディオ・カードまでそろえるつもりはなかった。①手軽に録音でき、②低性能と思われる内臓サウンド・カードを使わないで、③しかも安価に機材や録音ソフトをそろえることができる、ということを考えて USB 接続可能なプレイヤーで一番安価なオーディオ・テクニカの AT-PL300USB(購入時¥15,761)をアマゾンで購入した。他の同様な機能の製品としてソニー PS-LX300USB(2万円強)がある。
実際に使ってみて
初めてフルオートプレイヤーを使ったのだが、"START"ボタンを押すだけでアームが自動的に動き、カートリッジがレコードにダウンするので、それだけでレコードを掛ける手間がかからず結構手軽に聴ける。使い勝手が良いので「全部処分するのは止めて、いらないレコードだけ売ることにしよう」と心変わりした。PCへの録音は付属の録音ソフト「Audio Creater LE」で行うが、操作は簡単。この手のソフトを使うのは初めてなので、機能や使い易さが他の製品と比べて優れているのかどうかはわからないが、僕には十分のようだ。録音したデータはレコードのA面B面ごとに wav データで保存している。wavで保存している理由は、①後々曲ごとの切り分けなどの編集作業をする気になったときに、録音データは非圧縮であった方がいいだろうということと、②非圧縮なのでデータサイズは大きいが、録音するレコードは150枚程度なのでハードディスクを圧迫することはないからである。「Audio Creater LE」は mp3 データへの保存は限定的で、ユーザ登録後1カ月間しか mp3 エンコーダを使用することができない。継続的に使用するユーザは約2000円でmp3エンコーダのシリアル番号を入手することができるのだが、そんなケチなことはやめた方がいいと思う。というのは mp3 エンコーダはフリーソフトも入手可能なようだし、iTunes ユーザなら AAC エンコーダで wav データを m4a データに簡単に変換できるので、安価なレコードプレイヤーでしかも USB接続可能な製品を買うようなユーザがわざわざ有料オプションの mp3 エンコーダを購入するとは思えない。このような有料オプションはユーザに悪い印象しか残さないのではないだろうか?(と少なくとも僕は思う)
その他気がついたこと
録音するとなるとレコード表面の埃が気になるので、レコードクリーナーも買った。プレイヤーのメーカーと同じオーディオ・テクニカの製品で「レコードクリニカ AT6017」。静電気の発生しにくい湿式で、キレイに埃が取れオススメ。
タグ:USB レコードプレイヤー
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