2004年11月30日
来年の年賀状
そろそろそんな季節ですね。事務所のウェブのPHOTOコーナーに21世紀以降の年賀状をアップしました。毎年ご好評を頂いております私の年賀状ですが、2005年もクールな感じにしたいです。ご希望の方は年賀状専用メールアドレスpostcard@hyodo-arch.comまで住所・氏名をご連絡ください。
そろそろそんな季節ですね。事務所のウェブのPHOTOコーナーに21世紀以降の年賀状をアップしました。毎年ご好評を頂いております私の年賀状ですが、2005年もクールな感じにしたいです。ご希望の方は年賀状専用メールアドレスpostcard@hyodo-arch.comまで住所・氏名をご連絡ください。
昨夜、N響アワーを見ていたら、我が敬愛する学問と製菓の師匠、毛利衛さんが出演していた。彼はスペースシャトルの中で、バッハの無伴奏チェロ組曲を聴いたと話していた。彼がハイビジョンカメラで撮影した映像のバックに、ヨー・ヨー・マの演奏する第1番プレリュードが流れた。神の視界と理性の旋律という組み合わせは、なんとも魅惑的で、博愛的な環境問題の意識など押し殺されてしまう。
その無伴奏チェロ組曲だが、ちょうどCDを友人と仙台にいる父に貸してしまっている。彼らは聴いているだろうか?
今回の写真のテーマは「近い入口」。単にドアだけでも魅力的な被写体だけど、隣り合う入口の向こうはどうなっているのだろうか?なんだかとても秘密めいていて、私の妄想を掻き立てるのだ。
私が以前所属していた設計事務所では、スタッフが持ち回りして、夕食を人数分調理していた。ある日、私たちはコンペの〆切で忙しく、夕食を調理する余裕がまったくなかった。そんなとき、私たちの上司にあたるEさんが料理してくれることがよくあった。私は彼が冷蔵庫からゴミのような野菜を取り出してテーブルの上に並べているのを横目で見ていた。キャベツの芯、シナシナのレタス、干からびた人参、たくあんのようになった大根、半分にカットされた芽が出ている玉葱etc、とにかくひどいクズ野菜ばかりで、量も少く到底全員の分はなかった。彼は米を炊き、カレーを作ってくれた。
私たちは一瞬手を休め、カレーを食べた。あの材料でカレーが調理されたことも信じがたかったが、この旨さは奇跡だった。カレーの量は米の量と比べると少なかったその分味付けが濃くなるようにスパイスがバランスよく調合(この事務所ではカレー、ソース、焼肉のタレなどは原則自分たちで、醤油や酒、スパイスなどを調理調合して作っていた)されていたのだろう。ただそれだけかも知れないが、食事が出来るまでのコンテクスト、スタッフの精神状態、Eさんはそういったことまで配慮して作ってくれたのだ。本当にあの時のカレー味は忘れられない。
昨日、友人はカレーの話をした。クズ野菜の話もしていたと思う。夕方彼女を駅まで送った帰りに、スーパーで挽肉を買い、家にあった玉葱とでカレーを作った。それを食べながら、私はあの奇跡のカレーを思い出して幸福な気持ちになるのだった。
本日、ようやくホームページを開設致しました。まだまだ、手直し、追加が必要ですが、事務所紹介程度の機能はあると思っています。HPのご意見をお寄せいただければ幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。
実は私、茶の心得がある。日曜日に行った淡交会のお茶会では、正客を務めた方に、今度私の茶室に遊びに来るようお誘いを受けたくらいある(茶名を持つ友人N氏と一緒にいたので、オマケで誘われただけ)。本当は、今月からお茶の稽古に通い始めた、極超初心者である。
先日のお稽古で、シフォンケーキの技術がお茶を立てる際に役に立った。茶筌でお茶を立てることはメレンゲの泡立てに似ている。お辞儀の仕方を何度もやり直しさせられていた私だが、今回は先生に褒められた。
「hyodoさん、初めての割りはお茶筌の扱いがお上手ですよ」
「先生、私、シフォン道を修めておりますので」
「?」と先生。
N夫人がフォローしてくれる。
「先生、hyodoさんに先日シフォンケーキをいただきましたんですのよ」
他の生徒さんたちが、
「あ、メレンゲを手で泡立てるの大変ですよね。なるほど」と納得。
褒められていい気になった私は、茶会には絶対にシフォンを出そう、趣向はこうしようと、妄想を巡らせていた。
床の軸には「メレンゲ一日不成」の墨跡。(誰の筆かは不明。ただしhyodo極書付)軸は麺捧。お花はレモンシフォンなのでレモンの花。花器はシフォン型。水が少しずつ漏れるが、その下の板(名前がわからないほど初心者なのでお許しを)が適度に濡れて良い。お菓子のシフォンはホールのまま出す。正客はそこに円相を見いだし、私が只者でないことに気が付くに違いない。
そして、おそらくお茶の後には、次のような会話が交わされるであろう。
「あの大変すばらしいお軸はどのような意味ですのかしら?メレンゲを私存じ上げませんもので・・・」
「メレンゲとは宇宙のことです。万物斉同です。それは広大で深遠な世界で、泡宇宙論でさえ説明できない、人智を超えた仏の世界です。(シフォンケーキ宇宙編参照)」
「先刻いただいたお菓子は?」
「自家製のレモンシフォンでございます」
そこで正客は床にあった花器がシフォン型であったことに気が付く。
「おシフォン型は?」
「全アルミ製径17センチでございます」
「大変由緒のあるものとご推察しますが?」
「この度祖母より継いだアメリカ製なのでございます。シフォンの祖ハリー・ベーカーが使っていたものが代々我が家に受け継がれきたのです」
「お茶入はずいぶんと大きなものでございますね」
「はい、これは元々国産スーパーバイオレットの入物でした」
「おゴムへらは?」
「シリコン製でございます」(なぜゴムへらが出てくるかは不明)
「ご銘は?」
「淡(泡)雪でございます」(外は雪が降っている)
「大変結構なお品を拝見させていただきありがとうございました」
「大変おいしゅうございました」
「本日はお越しいただきましてありがとうございました」
と、こんな感じである。是非大勢の方をお招きしたい!
(今回で自転車シリーズはおしまい。次回新シリーズをご期待ください)
カルヴィーノの小説。1ダースの愛の冒険。1番好きな話は「ある夫婦の冒険」。昔「ボッカチオ」のようなオムニバス映画で見たはずだが、キネ旬DBでは見つけられなかった。今、たまたま小説を手に取って読んだら、急に観たくなった。誰か教えてください。