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2013年12月24日

Raspberry Pi で格安ミュージックサーバを作る~その2~

Raspberry Pi と Topping/TP23
前回は、Raspberry Pi を使った格安ミュージックサーバのハード構成を紹介した。今回は、Raspberry Pi をミュージックサーバとして使うために私が行った設定を紹介する。ネット検索で参考にさせていただいた HP は大変貴重な情報がある。また参考書として、「Raspberry Pi ユーザーガイド」が役に立った。

raspi-config の設定

私の場合は、raspbian をしばらくグラフィカル・デスクトップ環境で遊んだあと、ターミナルより sudo raspi-config で下記の設定を行った。

  1. Change User Password > pi ユーザのパスワード変更
  2. Enable Boot to Desktop/Scratch > ブート時の起動方法を “Text console” に変更
  3. Internationalisation Options / Change Keyboad Layout > 自動的に設定してくれる
  4. Advanced Options / Hostname > ホストネームを “MusicServer” に変更
  5. Advanced Options / Memory Split > GPU のメモリ割り当てを “16” に変更(”0″でもいいのかもしれないが、”16″とした。)
  6. Advanced Options / SSH > Enable に変更

公開鍵で SSH 認証できるようにする

下記リンクの解説及び設定方法が非常に分かりやすい。SSH クライアントは、PuTTY を使用している。
参考HP > Qaplaの覚書・メモ・備忘録・独言 Raspberry Pi のSSHでファイル認証

LAN の固定IP の設定

sudo nano /etc/network/interfaces で編集

auto lo

iface eth0 inet dhcp static
     address 192.168.1.xx
     netmask 255.255.255.0
     gateway 192.168.1.x

allow-hotplug wlan0
iface wlan0 inet manual
wpa-roam /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf
iface default inet dhcp

無線LANの設定

sudo nano /etc/network/interfaces で編集

auto lo

iface eth0 inet static
     address 192.168.1.xx
     netmask 255.255.255.0
     gateway 192.168.1.x

#コメントアウト     allow-hotplug wlan0
#コメントアウト     iface wlan0 inet manual
#コメントアウト     wpa-roam /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf
#コメントアウト     iface default inet dhcp

#以下、無線LANアダプタの設定
auto wlan0
iface wlan0 inet static
     address 192.168.1.xx
     netmask 255.255.255.0
     gateway 192.168.1.x
wpa-conf /etc/wpa.conf

sudo nano /etc/wpa.conf で新規ファイルを作成し、下記を記入する

network={
     ssid="<無線LAN機器のSSID>"
     key_mgmt=WPA-PSK
     psk="<WPAキー>"

MPDのインストール

MPD 公式ページ
参考HP > Raspberry PiをMPD(Music Player Daemon)サーバにする
下記コマンドをターミナルから打ち Music Player Daemon のインストール及び設定を行う。

  1. sudo apt-get install mpd mpc↵
    > MPD と MPC のインストール。MPC は MPD の CLI クライアントである
  2. sudo service mpd start↵
    > MPD を起動する
  3. sudo nano /etc/mpd.conf↵
    > 設定ファイルの変更
    auto_update   "yes"    # 自動的にプレイリストを更新する(コメントをはずす)
    #bind_to_address   "localhost"    # エラーが出る場合(コメントをつける)
    mixer_type   "software"    # 有効にするとクライアントから音量調整可能になる(コメントをはずす)
    
  4. sudo /etc/init.d/mpd restart↵
    > mpd の再起動

次に USB-DAC へ出力するための設定を行う。USB-DAC の種類は自動的に認識してくれた。
参考HP > SAKURAの独り言:ubuntu studio 12.04でMPD (備忘録)

  1. cat /proc/asound/cards↵
    > USB-DAC のインデックスを調べる
  2. sudo nano /etc/modprobe.d/alsa-base.conf↵
    > USB-DAC をデフォルトのサウンドデバイスに設定するために下記を記述する
    options snd-usb-audio index=0
    options snd-bcm2835-audio index=1
    options snd-usb-audio nrpacks=1
    
  3. sudo reboot↵
    > Raspberry Pi を再起動する

Samba サーバをマウントする

私は、音楽ファイルを Samba サーバ上に保存している。下記コマンドをターミナルから打ち、Raspberry Pi から Samba サーバをマウントする。一般的な NAS もたぶん同様の設定方法だと思われる。

  1. sudo apt-get install cifs-utils↵
    > cifsマウントユーティリティをインストール
  2. cd /mnt↵
    > mnt ディレクトリへ移動
  3. sudo mkdir share_music↵
    > 音楽データ用ディレクトリ “share_music” を作成
  4. sudo chmod 777 share_music↵
    > パーミッション変更
  5. sudo mount -t cifs -o user=UserName%PassWord //192.168.1.xx/share/music /mnt/share_music↵
    > samba サーバー上の共有音楽データ・ディレクトリをマウントする
  6. ls /mnt/share_music↵
    > 共有音楽データ・ディレクトリがマウントされたか?を確認する
  7. sudo ln -s /mnt/share_music /var/lib/mpd/music/↵
    > mpd の music データフォルダにシンボリックリンクを作成
  8. umount //192.168.1.xx/share/music
    > 共有音楽データ・ディレクトリのアンマウントする

次に、共有音楽データ・ディレクトリを起動時に自動的にマウントする設定を行う。

  1. sudo nano /etc/fstab↵
    > fstab に追記することにより、起動時に自動的にマウントするようにできるらしい。
    //192.168.1.xx/share/music /mnt/share_music cifs username=UserName,password=PassWord
    
  2. しかし、再起動しても自動的にマウントされなかった。sudo mount -a を実行すれば、マウントされる。しかたないので、sudo nano /etc/rc.local を実行し、exit 0 の直前に mount -a を追記した。rc.local は起動時に最後に読み込まれるファイルとのこと。

目覚ましとして使う

Raspberry Pi も USB-DAC 内臓のプリメインアンプ Topping/TP23 も電源スイッチが無いので、電源は 24時間入れっぱなしである。待機電力も電気代を気にするほど大きくないようだ。そこで目覚ましとしても使うことにした。

sudo crontab -e で cron を編集する。下記のように mpc コマンドを追記した。

# Everyday
10 5 * * * /usr/bin/mpc volume 100
15 5 * * * /usr/bin/mpc clear
20 5 * * 1-5,7 /usr/bin/mpc load NHK-R1
20 5 * * 6 /usr/bin/mpc load NHK-FM
#
#
# For Weekday
30 5 * * 1-5 /usr/bin/mpc play
#
#
# For Saturday Weekend Sunshine
20 7 * * 6 /usr/bin/mpc play
#
#
# For Sunday Ongakuno Izumi
55 7 * * 7 /usr/bin/mpc play

mpc コマンドの使い方は、mpc help で表示される。一応下記リストに解説する。cron のスケジュールについては、「cron スクリプト 書き方」などで検索すると親切なサイトが多くある。

  • mpc volume 100↵
    > 私の場合は、mpd.conf でソフトウェア・ボリュームに設定しているので、ボリュームを絞っている場合は、100% に戻す
  • mpc clear↵
    > Playlist をすべてクリアする
  • mpc load NHK-R1↵
    > ユーザが作成した Playlist “NHK-R1” を読み込む。私の場合は、NHK-R1.m3u というファイルに NHKラジオ第一放送のストリーミング・アドレスを入れている。具体的な中身は、下記参照。リッピングした音楽データで作成した Playlist でも良い。
    mms://a33.l12993146032.c129931.g.lm.akamaistream.net/D/33/129931/v0001/reflector:46032
  • mpc play↵
    > 現在のプレイリストを再生する

以上、思ったよりも快適に使えている。仕事場のリスニング環境は、デスクトップ Win7 + foobar2000 + TEAC/A-H01 + 自作スピーカー(長岡鉄男/BS-84、Fostex/FF105WK)であることは以前の記事「foobar2000 で NHK ネットラジオを聴く」で書いたとおりだが、こちらの更に安価なシステムの方が音質も良い。

関連記事 > 「Raspberry Pi で格安ミュージックサーバを作る~その1~

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2013年12月17日

Raspberry Pi で格安ミュージックサーバを作る~その1~

格安ミュージックサーバ
Raspberry Pi という ARM 系小型コンピュータの存在を先月に知った。一年半ほど前は結構話題になっていたらしい。とにかく安いので何をするかあまり考えず買ってみた。OS は、複数の Linux ディストリビューションを切り替えてブートできる NOOBS をインストールし GUI 環境で遊んでいたが、結局 Raspbian しか使ってない上に HDMI 入力端子のあるモニタが事務所に 1台しか無いこともあり、GUI で使うのはやめて SSH を設定して、PuTTY で Win7 から、もしくは ConnectBot で Android から接続して弄くるようになった。そうこうしているうちに Samba サーバを立てて事務所のデータバックアップを自宅でも行い、地理的冗長性を担保しようか?防犯カメラにしようか?など具体的に役に立つ利用方法を考え始め、最終的にミュージックサーバを作ることにした。理由は、事務所の音楽再生環境(Win7 + foobar2000 + TEAC/A-H01 + 自作スピーカー(長岡鉄男/BS-84、Fostex/FF105WK))が先月整い、費用の割りに音質が良く、操作性も快適なので、自宅でも同じような環境を作ってみたくなったのだ。事務所の再生環境については、「foobar2000 で NHK ネットラジオを聴く」を参照されたし。

自宅は 2DK アパートに妻と子どもの 3人暮らしなので、また Raspberry Pi のスケールに合うように、事務所の機器よりも小型にすることにした。またできるだけ安く、良い音を得られることを目標にした結果、上記の写真のようになった。下記に機器をリストアップする。

機器リスト

ミュージックサーバ

本体:
Raspberry Pi Type B
> 4,379円
SDカード:
Amazon限定 Transcend SDHCカード 8GB Class10
> 952円(最近は、4GB の方が高かったりする)
ケース:
Raspberry Pi Clear Case
> 1,660円
USB電源:
Docomo/AC アダプタ 04
> 0円
※ これまで使い道の無かった Docomo ポイントを使って無料でGET!
USB無線 LAN アダプタ:
PLANEX/GW-USMicroN2W
※ 事務所で余っていたもの
OS:
Raspbian (2013-09-25 版)
> Free!
Apr:
Music Player Daemon (MPD) 0.18.5
> Free!(スミマセン、Raspbian にインストールされるのは、ver.0.16.0 でした)

プリメインアンプ

USB-DAC 内臓
プリメインアンプ
TOPPING/TP23
> 7,350円
アンプ部:25W@4Ω,約14W@8Ω
DAC 部:16Bit/48kHz

スピーカー(自作)

ユニット:
Fostex/FF85WK ×2本
> 6,550円
コイズミ無線のセールで購入
エンクロージャ:
バスレフ方式、3.5L
※ 取説付属の推奨エンクロージャの寸法を既製板材の規格に調整し、スリットダクトにしたもの。吸音材は家に大量にあったコットンパフをエンクロージャ内部 3面に貼った。
この方のホームページのエンクロージャが美しく製作されていたので、真似してみました。
エンクロージャ材料:
ラワンベニヤ 12t + エゾ松 180w×14t×1800L + カット代 + AEPカラースプレー
> 3,870円
スピーカーケーブル:
九州電気/OFC 0.12mm 素線多重ツイスト構造、0.75SQ 5m 購入
> 945円
※ターミナルを設けずユニットに直結
費用合計
25,706円

Topping/TP23
Topping/TP23 という製品は「USB-DAC 内臓 プリメインアンプ」と検索して探し出した。私が知りうる限り最安の製品である。TEAC/A-H01 を購入した頃は、その存在を知らなかった。スペックは TEAC/A-H01 より DAC、アンプの出力共に低いが、価格は 1/3 である。

電源スイッチは付いてない。コンピュータの電源とリンクして自動的にON/OFFする。寸法も小さく Raspberry Pi を上に乗せるとちょうど良い。Topping というメーカーは中国のメーカーらしいが、自社ホームページはなぜか見つからない。

音はフルレンジ一発のスピーカーとの組合せということもあり、ミニコンポや、Bose のアンプ内臓スピーカーのように変な味付けされた加工は行われていない感じで、ピュアオーディオと言える。クリアな音質で定位が良く分解能も結構高い。ソナタなどの曲では、プレイヤーの動作や息遣いまで小音量でも感じる。低域が物足りないのはやむを得ないが、8cm ユニットで 3.5L のエンクロージャにしては結構出ている。

MPD の操作は、Android から MPDroid で行っている。Win7 からは、GMPC 又は SkyMPC を使用しているが、foobar2000 の使い勝手のようにはいかない。foobar2000 が MPD クライアントとして使えると最高なのだが・・・・。

約25,000円でこれだけの品質と操作性が手に入るのは嬉しい。
じっくりと音楽を聴く機会が増えた。

段ボールのエンクロージャ
上の写真は、エンクロージャが完成するまでの間、とりあえず鳴らすために作った段ボール・エンクロージャ。かなり残念な音だったw。バスレフ・ダクトも付けたり、内部を補強したり石やタイルを詰め込んだりしたのだけど、箱鳴りがひどく、密閉にしてもあまり変わらなかった。そもそも密閉できていたかも疑問。

次回、Music Player Daemon (MPD)を稼動させるまでの Raspberry Pi の設定を紹介したい。
関連記事 > 「Raspberry Pi で格安ミュージックサーバを作る~その2~

※追記: Raspberry Pi Model B+ (Plus) が出ましたね。

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2013年12月5日

foobar2000 で NHK ネットラジオを聴く

本題の前に、自分の環境などの説明をする。

以前、iTunes を使っていたのだが、仕事で常用する CAD アプリケーション “Vectorworks” と非常に相性が悪かった。理由は、Vectorworks が 特定のバージョンの Quicktime を画像処理に使用するからで、iTunes を使っている時にアップデートのダイアログをつい OK してしまうと QuickTime のバージョンが新しくなり、Vectorworks が QuickTime をサポートできなくなってしまうからである。しかし、iTunes 10.5(2011年頃)から QuickTime が付属しなくなったことを昨年知り、Vectorworks と同居できるようになった。

そこで、今年初め久しぶりに iTunes をインストールしたのだが、昔使っていたバージョンが古すぎるのかデータベースの移行がうまくいかず、プレイリストやお気に入りの”★”の数、再生回数などのデータは無くなってしまってとても残念に思うと当時に、いろいろと余計な Apple のソフトがインストールされるのがとてもイヤだったことを思い出したりして、これを目処に iTunes を使うことを止め、今夏から月額 980円の音楽ストリーミング配信サービス Music Unlimited を使ってみることにした。

Music Unlimited は自分の知らない曲を聴くことができることは魅力なのだが、仕事をしながらプレイリストを作るのはとても面倒だし、所有している CD をストリーミングで聴くことも多く、それもどうかと思い 4ヶ月程でやめた。で、過去に iTunes で取り込んだ音楽データを利用できる他のソフトを探してみたところ、動作が軽くてデフォルトの UI がシンプルな foobar2000 を使ってみることにした。

foobar2000 の使い方は「一から始めるfoobar2000 – foobar2000 Wiki」を参考にした。

foobar2000 は必要に応じて機能や UI を拡張できるように設計されている。魅力的なアプリケーションでオーディオ関連の情報も多いので、使い始めてしばらくすると、PC 廻りの音楽リスニング環境を整えたくなった。それまで実は 2000円くらいで買ったアンプ内臓の PC 用のスピーカーを使っていたのだ。調べてみると、世は PC オーディオ・ブーム到来とのことで、多くの製品が発売されており、USB-DAC という機材が PC で音楽を聴くには重要であるということを知った。

ただフルサイズのコンポを買う気はなかったので、USB-DAC 内臓の小型プリメインアンプを探した。主要オーディオメーカーの中では安くて評判の良い TEAC A-H01 を購入した。スピーカーは、FOSTEX の 10cm フルレンジユニット FF105WK を購入し、エンクロージャは図書館で長岡鉄男のスピーカー工作の本を何冊か借りてきて、事務所の本棚にぴったりの寸法のブックシェルフ型を探し、物置にあるベニヤ板の端材で「BS-84」を自作した。機材関係のことは、また次の記事で紹介したいと思う。

ここでようやく本題のネットラジオの話をする。

foobar2000 ではネットラジオが聴ける。一般的な方法は下記を参照した。

魅力的なインターネットラジオ局 | PCオーディオ実験室

NHK ネットラジオはブラウザ上の「らじる★らじる」で聴いていたが、foobar2000 で聴けるといいなぁと思い、上記の方法を試してみることにした。

まず、NHKネットラジオのストリーミング URL を調べた。下記を参照した。

仙台・名古屋・東京・大阪のらじる★らじるをiPhoneで聞く – 別館 子子子子子子(ねこのここねこ)

しかし、NHK-FM 東京放送を聴くために、下記を記述した m3u ファイルを作成し、foobar2000 から読み込んでも音が出ない。

http://mfile.akamai.com/129933/live/reflector:46051.asx

そこで更に調べて次の情報を得た。

MPDとNHK らじるらじる : ささやき

上記のアカマイの URL にブラウザでアクセスし、ダウンロードした asx ファイルをエディターで開くと次のように記述されている。

<ASX VERSION="3.0">
 <ENTRY>
  <REF HREF="mms://a52.l12993346051.c129933.g.lm.akamaistream.net/D/52/129933/v0001/reflector:46051" />
 </ENTRY>
</ASX>

上記の “mms://a52.l1299~” の部分を m3u ファイルに記述し、foobar2000 から開くと NHK-FM 東京放送を聴くことができた。NHK-R1 ラジオ第1放送、NHK-R2 ラジオ第2放送も同様の方法でリスニングが可能になる。

ここで更に J-Wave など Radiko で配信されている民法放送は foobar2000 で聴けないか?という疑問がわく。しかしいくら調べても Radiko の配信 URL はわからない。録音アプリはいろいろあるのだが・・・・・。

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2009年5月20日

なかなか使いやすいUSBレコードプレイヤー

USBレコードプレイヤー AT-PL300USB

USBターンテーブルを購入するに至るまで
事務所の棚の一角を占めるレコードを処分しようと決心し、どこに売るのが一番お得なのか?ネットを調べたり、友人に尋ねたりしていたのだが、せっかく集めた音源なのでただ処分するのはあまりに寂しい(惜しい、悲しい、無念?様々な感情が入り混じる)ので、せめてジャケの写真は撮っておこうと、200枚ほどをホワイトスチレンボードを背景に、和紙スクリーンで室内に差し込む光を拡散させて、1日がかりで撮影した。1枚1枚はたきで埃を落としてから撮影し、ジャズ、ジャズ・ボーカル、ボサノヴァ、サントラ、オルタナティヴ・ロック(昔は New Wave と言われていた)、60’s と売りやすいようにジャンル分けもした。そうして撮影したジャケ画像をPCでスライド・ショーにして眺めていると、ジャケ全体のデザイン・コンセプトが明快に見えてくると同時に、手に持って眺めるときには気がつかなかったオーラとも言うべき経年変化がなぜかデジタル画像は写しだしていることに気が付いた。複製技術によって生まれたレコードは量産されることによってアウラを喪失しているはずだが、個人の手に渡った後は「時間と空間が縺れ合って、(中略)一回限りの現象」(ベンヤミン『複製技術時代の芸術作品』)がオーナーとレコードの間に生じるのかもしれない。・・・・・・といった感じにセンチメンタルに浸りながら哲学する自分を楽しんだし、さっさと売ろう!と決心してみるのだが、ジャケ画像を眺めていたら音も聴きたくなってきたので、ターンテーブルを買ってPCに録音してからレコードを売ることにした。

レコードプレイヤーを選ぶ
父からもらったテクニクスの SL-1200(初代!)を持っていたのだが、10年ほど前からレコードを買うことはなくなり、更に5年前にフォノアンプが壊れからレコードを聴いていなかったこともあり、昨夏に事務所を改装した際に SL-1200 は処分してしまった。なのでレコードを聴くためにはターンテーブルを新規購入しなければならない。「今どきレコードプレイヤーを買う人なんているのかな?」と思いながらアマゾンを検索してみると、驚くことにかなりの種類の製品がある。SL-1200 は Mark6 が出ているし、Vestax、ソニー、デノンなども継続して製品を供給している。売れ筋は、1万円前後のフォノアンプ内蔵の安価なプレイヤーで、ラジカセなどのAUXに接続すればフォノアンプが無くても聴くことができる製品である。このランクの製品にはPCへの録音が手軽なUSB接続できる製品が最近出てきている。僕の PC にはミニジャックの内臓サウンド・カードしかないが、フォノアンプやオーディオ・カードまでそろえるつもりはなかった。①手軽に録音でき、②低性能と思われる内臓サウンド・カードを使わないで、③しかも安価に機材や録音ソフトをそろえることができる、ということを考えて USB 接続可能なプレイヤーで一番安価なオーディオ・テクニカの AT-PL300USB(購入時¥15,761)をアマゾンで購入した。他の同様な機能の製品としてソニー PS-LX300USB(2万円強)がある。

実際に使ってみて
初めてフルオートプレイヤーを使ったのだが、"START"ボタンを押すだけでアームが自動的に動き、カートリッジがレコードにダウンするので、それだけでレコードを掛ける手間がかからず結構手軽に聴ける。使い勝手が良いので「全部処分するのは止めて、いらないレコードだけ売ることにしよう」と心変わりした。PCへの録音は付属の録音ソフト「Audio Creater LE」で行うが、操作は簡単。この手のソフトを使うのは初めてなので、機能や使い易さが他の製品と比べて優れているのかどうかはわからないが、僕には十分のようだ。録音したデータはレコードのA面B面ごとに wav データで保存している。wavで保存している理由は、①後々曲ごとの切り分けなどの編集作業をする気になったときに、録音データは非圧縮であった方がいいだろうということと、②非圧縮なのでデータサイズは大きいが、録音するレコードは150枚程度なのでハードディスクを圧迫することはないからである。「Audio Creater LE」は mp3 データへの保存は限定的で、ユーザ登録後1カ月間しか mp3 エンコーダを使用することができない。継続的に使用するユーザは約2000円でmp3エンコーダのシリアル番号を入手することができるのだが、そんなケチなことはやめた方がいいと思う。というのは mp3 エンコーダはフリーソフトも入手可能なようだし、iTunes ユーザなら AAC エンコーダで wav データを m4a データに簡単に変換できるので、安価なレコードプレイヤーでしかも USB接続可能な製品を買うようなユーザがわざわざ有料オプションの mp3 エンコーダを購入するとは思えない。このような有料オプションはユーザに悪い印象しか残さないのではないだろうか?(と少なくとも僕は思う)

その他気がついたこと
録音するとなるとレコード表面の埃が気になるので、レコードクリーナーも買った。プレイヤーのメーカーと同じオーディオ・テクニカの製品で「レコードクリニカ AT6017」。静電気の発生しにくい湿式で、キレイに埃が取れオススメ。

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2005年8月29日

SAIKOだよ!松田美緒

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先日の夜、皇居脇二重橋付近を運転中、J-Waveから不思議な歌が流れてきた。2本のギターとボーカルというシンプルな構成のブラジル系の曲。なかなか好きな感じの曲と声質なので耳を傾けていると、歌詞が変なことに気が付いた。ポルトガル語のようなのだが、サビの部分が

♪最高、最高、最高最高だよ!

と聞こえるのである。「きっとポルトガル語に『サイコー』という日本語と同音の言葉があるのだろう」と思って聴いていると、今度は、

♪最低、?%&#~、*@>+¥以下ポルトガル語(と思われる言語)

と聞こえるのである。「なるほど、ポルトガル語という言語には『サイテー』という音節を持つシニフィアン(記号表現)のシニフィエ(記号内容)があるのだ」と勝手な思い込みをしながら「記号論って何だっけ?」と昔勉強した記憶を辿ったりしていた。そうしたら2コーラス目に明瞭な日本語の歌が流れてきたので、私はものすごくびっくりした。

♪最低なことは全部忘れて、今日は一緒に、人生は最高だよ

そんなわけで、久しぶりに印象に残る歌に巡り会えたので、放送された時間を憶えておいて、翌日J-Waveのホームページのオンエアリストから調べてみると、ポルトガル語圏の国々の音楽を中心に活動している松田美緒という歌手の”SAIKO”という曲であることがわかった。

“SAIKO”は今までに無かった新しい試みをしている。それはサビの歌詞だけが日本語であることである。J-Popではサビが英語で”Love”だの”Ecstasy”だの”baby”だのという単語が飛び出すことは非常に多い。J-Popでなぜこのようなことが行われるのかというと、歌詞の内容を正確に伝えるための「実用的機能」よりも音によるシニフィアンの「美的機能」を期待しているからである。それを松田美緒はポルトガル語の視点から日本語の「最低」「最高」という音節をもつシニフィアンの「美的機能」を発見し、ポルトガル語の歌詞の中に組み込んだ。大胆で画期的な手法だと思う。

早速、先週渋谷のHMVで松田美緒のアルバム「アトランティカ」を買った。3階のワールドミュージック売場に視聴コーナーもあった。久々にライブも聴いてみたい歌手である(調べてみたら少し前に六本木であったらしいザンネン)。今後の活動にも期待!とりあえず”SAIKO”はiTuneのマイレート最高の★★★★★。

参照記事
松田美緒公式ページ >> http://www.miomatsuda.com/
eo音楽 >>松田美緒インタビュー
PAPA-Qの「古今東西音楽雑話」>>彼女のドレスは大西洋の色彩

今日の写真 ~カラフル その3~
開新堂のランチのデザート。カラフルなゼリーをふたつ選べる。美味しいのでまた行きたいなぁ!

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2005年8月3日

musical batonって何?

0803_0534_02.jpg

自転車でおいで」の marinさんより頂いたmusical batonを2週間遅れでお届けします(marinさん、お約束より遅れてスミマセン)。ところでmusical batonて何だろう?と思って調べてみたらはてなダイアリーに載っていました。で、私の場合はというと・・・・・・

1.Total volume of music files on my computer

iTuneによると、3151曲、10.26GBでした。CDは置き場所に困るので、最近結構TUTAYAを利用します。何しろお金がかからないのが良いですね。JASRAC(はあてにできないのでそれに変わるまともな組織)に早く著作権のゴタゴタを整理してApple Music Storeでどんなレーベルも購入出来るようになる日を心待ちにしています。8月にApple Music Storeの日本版がスタートするそうなので少し期待しましょう。

2.Song playing right now

最近仕事中は何も聴きません。FMも点けませんね。

3.The last CD I bought

郷愁アパルタメント柳沢暁子
先日、無聊仲間のIMAIYUMIさんの個展オープニングに伺ったときに柳沢さんのボサノバ・ライブがありました。ギターとフルートの涼しげなパフォーマンスでした。カルロス・リラの娘の話を伺ったりしながらご本人より直接購入。サイン入りです。IMAIさんが柳沢さんのCDスリーブのイラストを描いているので、オープニングに出演していただいたとのことでした。

4.Five songs(tunes) I listen to a lot, or that mean a lot to me

iPodでも良くかかるLoveな曲をサントラから。良くかかるということはマイレート★★★★以上ということになります(笑)。

1) “AUJOURD’HUI C’EST TOI” >>「男と女」(1966仏、クロード・ルルーシュ)から
どんなシーンでこの曲が流れるのか思い出せないのだが(たぶんアヌーク・エーメが昔の旦那を思い出しているシーンかな?)、繰り返し聴くほどに味があるスルメのような曲。音楽はフランシス・レイ、ピエール・バルー。

2) “LE TOURBILLON” >>「突然炎のごとく」(1962仏 フランソワ・トリュフォー)から
映画より有名かもしれない名曲中の名曲。あまり若い頃のジャンヌ・モローの評判は良くないようだが(私の手元にあるフレンチ・ロリータ・コレクションという本にモローは取り上げられていなし、小西康陽氏はPHLIPSのACTRICESシリーズのライナーでミス・キャストではないかと言いたいようである)私はこの映画に出演している彼女が大好きである。音楽はバシアック。

3) “THE HEART ASK PLEASURE FIRST”
 >>「ピアノ・レッスン」(1993豪 ジェーン・カンピオン)から
浜辺に置き去りにされていたピアノに会いに行く。自分の片割れであるそのピアノをエイダが弾く。ベインズがそれに心打たれて・・・・・・音楽はマイケル・ナイマン

4) “L’AMORE DICE CIAO”
 >>「女性上位時代」(1968伊 パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ)から
このサントラは1テーマを9バージョンでアレンジという手抜きもの。メインテーマからワルツ、ドリームバージョン、ボサノバリミックス等々様々なアレンジで聴かせてくれるだけだが、なぜかずっと聴いていたくなる。取り上げた”L’AMORE DICE CIAO”はそのヴォーカルバージョン。「男と女」のジャン・ルイ役トランティニャンが裸のカトリーヌ・スパークに馬乗りされて部屋中を歩き回らせられるエンディングに流れるのですが、彼らにとっても観客にとってもまさに至福のとき。笑ってしまいながらも結構良いシーン。音楽はアルマンド・トロヴァヨーリ。

5) “CLEMONTINE CELARIE “VAS ADELANTE””
 >>「シェフと素顔と、おいしい時間」(2003仏 ダニエル・トンプソン)から
ジュリエット・ビノッシュ、アカプルコ、椰子の木・・・・・爽やかこの上ない組み合わせでかかる軽快な曲。アカプルコを捨てて自分のところへ来てくれたらそりゃ嬉しいですよ、男は、ましてビノッシュなら。音楽はエリック・セラ。

文章を打ち終わって気が付いたのですが、上記のサントラがかかるシーンはどれも女の魅力が特に発揮されるシーン(「男と女」どんなシーンだったか忘れてしまいましたが)なので観て損は無いですよ!

5.Five people to whom I’m passing the baton (バトンを渡す 5 名)

どなたか引き継いでくれる方は・・・・・いらっしゃいませんよね?不幸の手紙やチェーンメールみたいなものでは無いようなので(かもしれませんが)・・・・・私は久々音楽ネタの記事を打つことができて良かったです。

今日の写真 ~Underconstction その4~
ローマの・・・・・どこだか忘れてしまったのですが、工事の仮囲いに修理が完了したときのモニュメントの立面が描かれています。イタリア人のサービス精神ですかね。

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カテゴリー:音楽 |  コメント (4) |  投稿者:hyodo

2005年4月28日

この曲が無いと死ぬ!

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まず下記の2つの複雑な事情を告白しておく。

A.私は長年公私共々Macユーザーであったが、公私共々Windowsユーザーに翻った。
B.私はApple社の携帯音楽プレーヤー iPod を所有している。

さて、私の廻りにはMacユーザーが多く、2003年夏にA が実行されたとき裏切り者のように白い目で見られていた。特にMacの同志として長年友好を温めてきたt-space氏からの糾弾は激しかった。PowerMacよりはるか昔からMacユーザーだった私自身も少々の罪悪感を感じていたが、Mac OS Ⅹはどうも使う気になれず、それなら安いWindows機でいいやと思いDellを買った。

生粋のMacユーザーであるt-space氏は、iPodを当然の如く所有していた。当時 iPod のプロパティはMacにあり、iPodを持っているということは 当然Macユーザーであることを表していた。この頃Windowsで iPod 使用する場合は、複数のアプリケーションを使い分けたり、パッチを当てたりする必要があり少々面倒で、ユーザーは物好きに限られていた。しかしちょうど私がDELLを買った頃、Windows版の iTuneiPod に音楽データの転送などをするためのパソコンソフト)がリリースされ、 iPod for Windows が正式にAppleから発売されたのである。そこで私はいたずら心から t-space氏の嫉妬心を煽りたくなり、B を実行することにした(<–t-spaceさん、話を面白くするための狂言です。ご勘弁を・・・)。MacからWindowsに寝返りながら iPod を所有する・・・この軽い罪悪感が愉快であったのである。
ちなみに私が所有する iPod は第3世代の M9244J/A という型でハードディスクの容量は20GB、約5000曲が入る。

iPod を使用する環境が、Macだろうと Windowsだろうと関係なくなった今では、当時の私たちの複雑な心理状態を想像することは難しいかもしれないが、iPod を所有することはMacユーザーの特権であり、ダサい携帯プレーヤーしか使えないWindowsユーザーに対する最大のアドバンテージであった。それをWindowsに乗り換えた裏切り者の私が、最新の大容量 iPod をUSB(MacはFireWireである)に繋いでオートシンクしたり、小躍りしながら聴いたりしているのを見せつけられたt-space氏は面白いはずがない。これは世のグローバル化がもたらした一時的な悲劇なのである。誰も悪くない、誰のせいでもない。悪いのは私がMacユーザーの心境を理解していたことである(笑)

さて前置きが長くなってしまった。本題に入りたい。iTuneには「マイレート」という機能を使って曲の評価付けをすることができる。マイレートは星の数0~5で表される。スマートプレイリストという自動選曲機能にマイレートを利用して、次のような名前のプレイリスト作成している。

この曲が無いと死ぬ!・・・・・・★★★★★ 全22曲

至福のとき・・・・・・★★★★ 全132曲

いつ聴いてもいい・・・・・・★★★ 全509曲

たまにはいいかも・・・・・・★★ 全174曲

いらん・・・・・・★ 削除候補 全41曲

ちなみに★無しは約2000曲。

どんな曲が★★★★★なのかは恥ずかしいので申し上げられないが、ほぼ正規分布になっている。リンクしている全曲をちゃんと聴いて評価しているわけでも無いが、結構お気に入りの機能である。他のiPod ユーザーの方々はどのようにマイレートを使っているのだろうか?

BGM “I Want To Stay With You” Carol Douglas

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