2016年2月20日
私は建築設計事務所を営んでいる個人事業者である。今年も確定申告の季節がやってきた。昨年まで青色申告に必要な帳簿や決算書など書類の作成は妻に依頼していた。諸事情により、昨年分、つまり今年の3月15日までに提出しなければならない分から私が帳簿を付け、決算書を作成することになった。
当初は「やよいの青色申告」を使っていた。
以前に地元川口市の支援プログラムで税理士さんに指導してもらって、2007年より「やよいの青色申告」(以下「やよい~」) で妻に帳簿を付けてもらっていた。しかし昨年分より「エクセル簿記」に切り替えた。切り替えた理由について下記に述べる。
昨年の春より私が帳簿を付けることになったので、時々「やよい~ 」を使うようになった。ちなみにバージョンは 2007年当時のものである。初めて「やよい~」を操作した時、かなり違和感があったのを憶えている。その違和感は、半年分の消耗品のレシートを入力してみても拭えなかった。次にその理由を列記する。
- データがどこに保存されているのか?任意のフォルダにする場合はいちいち設定しなければならない。もちろんアプリを起動すれば自動的に本年度のデータが開くのだが、どうも釈然としない。
- 「簡単」と謳っているが、操作を覚えるのが結構大変。
- Excel に慣れている身としては、セルへの入力や編集がやりにくい。
- なんだか無駄なアイコンやメニューばかりが目立つ。
上記のような違和感があったこともあり、そろそろバージョンアップしたほうがいいかもと思い、他の会計ソフトも含めて調べてみた。すると「やよい~」はサブスクリプション契約のクラウド版があったり、「freee」 という google の元社員が起業した新興クラウド会計ソフトがプレゼンスを増していたり、他のソフトは両者より価格を安くして対抗していたりすることが分かった。とにかくどれも簡単・自動化を謳っており、高機能で凄そうだ。
青色申告に専用ソフトは必要なのか?
ここでふと思った。MS Office Access の青色申告テンプレートはないのだろうか?もしくは Excel マクロは?Access はデータベースソフトなので難しそうだが、Excel だったら普段から使っているし、複雑な科学技術計算やデータ解析にまで使われているそうだから機能的にも問題ないだろう。そもそも青色申告は専用ソフトなんか必要ほど難しいことなんだろうか?
そこで検索しているうちにたどり着いたのが「エクセル簿記」という Excel ファイルの会計ソフトであった。ソフトウェアといってもマクロファイルでもなくセルに数式が記述され入力制限等を設定した xls ファイルであった。青色申告には、専用アプリどころかマクロも必要ないのである。しかもクロスプラットフォームで、Excel と Apache OpenOffice Calcで使用できる。漸くまとも身の丈に合ったソフト(実はデータファイルでしかない)に出会ったと感じた。
必要なの会計ソフトの操作方法ではなく、複式簿記の知識
実際の使用には、複式簿記の概念の理解が必要である。話によると簿記 3級程度の知識があるといいのだそうだ。実際は、マンガ解説本でも小一時間で読んで概要を理解し、仕訳ができるようになればほとんど問題はない。「やよい~」の操作方法を覚えるよりずっと楽だ。そもそも「やよい~」でも複式簿記は必要知識である。
僕が読んだ簿記・経理処理の書籍は、「マンガでわかる! はじめての簿記入門」と「フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました」の2冊。どちらも青色申告者に必要な知識と情報がやさしく解説されていて、会計処理初心者の僕にはとてもありがたかった。
エクセル簿記の使い方
「エクセル簿記」は、そのままで青色申告対応している会計ソフトなので、個人事業者にとって実に使いやすい。しかもフリーである。カスタマイズや月毎の決算書などが必要な場合は、2,160円のマニュアルをダウンロードし解説を読めばよい。
xls ファイルは、仕訳帳と決算書、総勘定元帳、固定資産台帳のシートだけで構成されているシンプルなもの。基本的に仕訳するだけで、決算書(損益計算書、貸借対照表)シート切り替えるだけでリアルタイムで確認できる。ちなみに「やよい~」はいちいち決算書作成をしてプレビューする必要があったが、仕訳が 1万件あったとしてもそんな計算一瞬だろうになんでそんな操作が必要なのか?「freee」 は自動化やスマホアプリでどこでも操作を謳っているが、青色申告ごときでそんなに自動化が重要には思えないし、「エクセル簿記」の xls ファイルはスマホで操作可能である。
「エクセル簿記」はタダの xls ファイルである。この表現は開発者を貶めているのではなく、逆に開発者の技術力を讃え、良心に感謝し、同時に冗長な他の会計ソフトに異議を唱えたいという思いからだ。シンプルな会計ソフトを求めているのは、個人事業者だけでない。法人もユーザーも多いようで、導入ユーザーリストを見ると有名IT企業や大企業も散見される。
そして結論
「やよい~」や「freee」は、簡単・自動化を謳っているが、税理士に依頼できない財政事情の青色申告者を混乱させているようにしか思えない。今回「エクセル簿記」に出会って本当に時間の節約になって助かり、しかも経理を理解することができた。Excel が使用できる方なら「エクセル簿記」がお薦めである。
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2012年10月8日
週末、休みが取れたので息子を連れて芝川放水路脇の公園へ行ってきました。この公園の南東側には雑木林があり、大量のどんぐりが落ちていました。たぶんクヌギです。
参考 > どんぐりの種類
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2012年6月5日
先週、Twitter にツイートした写真のまとめです。
6月1日。事務所入口のニッチにキョウカノコが生けられていました。
かなり仕事が忙しかったので 1枚しか投稿していませんでした。ちょっと寂しいので、1枚追加します。
戸田市役所近くの気になるビル「アキバビル VOL-Ⅱ」。名前が謎です。検索してみると、賃貸マンションのようです。
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2011年12月3日
最近、子どもを遊ばせながら、モクレンの大葉を拾い集めて庭の掃除をしています。偕楽園で頂いたモミジが今年はきれいに赤くなり、イワフジも黄色になり、一重の白い花の咲くヤマブキは、黒い実を付けていますが、葉はまだ薄い緑です。急に寒くなったので、急に紅葉が進んだ気がします。
こちらは、庭のレモンです。緑から黄色に変わってきたので、あまりずっと残しておくのも良くないと思ったのか、母が収穫してかごに入れて玄関に置いています。レモンは色々使い道があるので、重宝します。
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2011年11月2日
先日、近所の芝川放水路の土手に息子を散歩に連れて行きました。ススキを刈っているうちにセイタカアワダチソウ、アメリカセンダングサなどの雑草を摘んで一緒に生けてみるのも面白いかもと思ってやってみました。
セイタカアワダチソウは通称ブタクサと呼ばれ、その強い繁殖力や花粉アレルギーなどを引き起こす原因となったりで嫌われものですが、元々は観賞用に日本に入ってきたものと本で読んだことがあります。確かにこうしてみると、悪くありません。
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2011年8月21日
使うシチュエーションがあまりないのでが、12inch 程度の大きさのノートPCが欲しいです。MacBook Air 13inch が形状、スペック共に理想ですが、Win派の僕はBoot Camp を使用することになると思うので、それもちょっとなぁ、という感じがします。
MacBook がいいなぁと思うのは、Lion が使えるとかでは全然なく、単に液晶画面のピクセル数がいいと思います。12inch 前後のWindows ノートPC は、ほとんどが、1366 x 768 px 表示なので、縦方向のピクセル数が少なくて、使いづらいような気がしています。その点、MacBook Air 13inch の 1440 x 900 px はとてもいいですね。
ただ、昨日 Lenove ThinkPad Edge E220s (Core i5-2467M)が、クーポンを使うと 約52,000円となっており、衝動買いしそうな気がしています。ただ、Intel HD Graphics 3000 は、iGPU 第1世代なので(MacBook も同じですが)、気の長い僕は、あと1年くらい待ってみてもいいかなぁ、と思っています。
写真は、満1歳を過ぎた息子です。珍しく上品な坊ちゃんぽい写真が撮れました。ちなみに写真のノートPC は、母が使用しているDell 製のかなり古いものです。
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2011年3月20日
福島第一原発の事故が深刻な事態になってくるにしたがって、僕自身、考え方が変化してきたので、今、整理しておこうと思います。事故以前は、どちらかというと原発賛成派でした。今後は原発に代わるエネルギー源を考えていく必要があると思います。
それでは、原発の代替エネルギーとして何が考えられるのでしょうか?そこでまず思いついたソーラー発電について、どの程度期待できるのか?現実的なエネルギー源となりうるのか?を調べてみました。
太陽光エネルギー資源の量
以前、「世界中の砂漠にソーラーパネルを敷き詰めれば、数時間で全世界の必要エネルギーを得ることができる」ということを聞いたことがあった。改めて検索して調べてみても、この根拠を見つけることは出来なかったが、NEDO (新エネルギー・産業技術総合開発機構) の技術白書ページの PDF 「太陽光発電の技術の現状とロードマップ(8.66MB)」によると
地表面に到達する太陽光エネルギーは90,000TW、そのうち回収可能なエネルギーは1,000TW と試算されている。このうちの1%(10TW)のみを利用すると仮定しても、2007 年時点の世界の発電容量(4.5TW)11の約2.2 倍に相当する大きさである。
2.1.2 ポテンシャル(1)世界 p9
との記述があり、太陽光エネルギー資源は莫大な量があることがわかる。
住宅にソーラーパネルを設置した場合のコスト及び発電量
- 設備費:
-
約200万円
(ソーラーパネル4kW、パワーコンディショナー等制御設備機器、取付費込の費用。シャープの製品での概算)
- 年間発電量:
-
4463kWh (埼玉県熊谷市の予測。シャープのウェブより試算。参考:1世帯の平均年間電気消費量: 5500kWh。よって、81% を自給できる。)
- 耐用年数:
-
ソーラーパネル > 20年以上、制御装置 > 約10年
- 維持費:
-
受光障害(鳥のフンなど)が生じた場合、要清掃。制御装置を約10年で更新。ここでは仮に 5万円/年 のメンテナンス費が発生すると仮定してみる。
- 発電コスト:
-
(200万円+5万円*20年)/(4463kWh * 20年)
= 33.61 [円/kWh] (20年の平均値)
原子力発電所の設備費と発電コスト
北海道電力が、設備費や財務情報をウェブ上で見やすく発表していたので、これを参考に試算してみた。
- 設備費:
-
約2,926億円 (参考:北海道電力株式会社泊発電所原子炉設置変更許可申請(3号原子炉の増設)の概要)
- 年間発電量:
-
6,287,413 MWh (参考:ほくでん:発電実績)
- 維持費:
-
(H21年の売上高-営業利益)*(3号原子炉の発電量/全発電量)
=(5500億円-500億円)*(6,287,413MWh/31,500,000MWh)
=998億円
(参考:ほくでん:経営指標等(連結))
- 耐用年数:
- 30年はあるだろうが、ここではソーラーパネルに合わせて 20年とする。
- 発電コスト:
- (2926億円+998億円*20年)/(6287MWh * 20年)
= 18.20 [円/kWh](20年の平均値)
コストの比較/
ソーラーパネル > 33.61 [円/kWh]
原子力発電の発電 > 18.20 [円/kWh]
発電コストは、45%ソーラーパネルの方が高いが、僕自身としては、実際にコスト算出してみて感じたのは、思っていたよりもずっとソーラーパネルによる発電は期待できるということだ。これは、家庭向けの発電設備と巨大発電設備の比較なので、発電効率は原子力側に有利であるから、ソーラーパネルも巨大な設備にすれば効率が上がると思われる。また、日本の家庭全世帯の屋根に普及すれば、ソーラーパネルの設備費が格段に安くなり、スペックも上がるだろう。
よって、ソーラーパネルによる発電に切り替えていくことは、夢物語ではなく、結構リアルな選択であると言えないだろうか?
そもそも、福島第一原発のような事故が一度でも発生すれば、上記のコスト比較そのものが無意味になってしまうほど損失が大きいことは、今や誰もが実感してしまった。また、計画停電にしても、一極集中型インフラに頼る社会であるから発生したのであり、各家庭の自家発電も取り込んだスマートグリッドのような分散型インフラであれば、このような事態にはならなかったであろう。
すべての世帯に4kWのソーラーパネルを設置した場合の電力量
すべての世帯に、4kWのソーラーパネルを設置した場合の電力量はどれくらいになるのだろうか?と思い、算出して見た。もちろん集合住宅もあるわけで、特に都心の超高層マンションには、世帯分のソーラーパネルの設置は期待できないが、算出する意味はあると思う。算出根拠は、下記データを利用した。
- 日本の総住宅戸数:
-
5389万戸(統計局データ 「平成15年住宅・土地統計調査」
よって、
- 年間全発電量:
- 4463kWh * 5389万戸 = 240,511 百万kW
この電力量は、日本の電力発電量の原子力発電分に相当する。
- 日本の電力発電量:
-
957,889 百万kW
(統計局データ 「日本の統計 第10章 エネルギー・水 H20年)
内訳/火力:621,286 百万kW、水力:75,914 百万kW、
原子力:258,128 百万kW
誰がソーラーパネルを負担するのか?
インセンティブが得られる方法を考えなければ、移行は難しいだろう。方法をいくつか考えてみた。
- 電力会社が負担する場合は、電気料金の徴収によって、15年くらいで回収できるようにする。
- 個人が負担する場合は、売電によって10年くらいで回収できるようにする。
> 現在は20年くらいと言われている
- リース
- 投資家が空いている屋根に投資。(南面の良い角度の屋根面が高額で取引されるようになるかも)
WWFの報告書 「The Energy Report – 100% Renewable Energy By 2050」
上記のようなことをいろいろと調べていたら、WWFが「The Energy Report – 100% Renewable Energy By 2050」というレポートを今年2月に発表していることを偶然知った。地球温暖化防止、具体的にはCO2排出量の削減のために、2050年までに再生可能エネルギーの割合を100%にするためのビジョンとシナリオが書かれている。(建築に興味のある人は、レポート制作にAMOが参加していることにも注目したい)
これを読み、今の事態を考えると、あまりにもタイムリーな内容なので、「これは日本のために書かれたのか?」と錯覚してしまう。このレポートの『「再生可能エネルギー100%」を実現する10の提言』の中でも特に難しいと思われる「社会の合意」が、今や日本では可能なのではないだろうか? 原発既得権を持つ産業界は、大声で反対出来ないだろうし、その既得権者の声を聞いていたのでは、政治家も当選できない。政治は再生可能エネルギーを無視できなくなり、政策を打つ。産業界全体も今回の計画停電に懲りて、再生可能エネルギーに傾き、それをビジネスとする企業も増加するだろう。また日本はそういった技術もあり、再生可能エネルギーへの転換は、安全保障上も有利である。
まとめ
分散型インフラにしても再生可能エネルギーにしても、それらにシフトしていく絶好の環境を日本は得たわけです。欧州だけでなく世界をリードしていくチャンスになると思います。
以上、福島第一原発の事故発生後、調べたり考えたりしたことです。
原発に頼ることをやめ、再生可能エネルギーへ移行する方がリアルな気がしてきました。
タグ:再生可能エネルギー, 福島第一原発
カテゴリー:建築, 雑記 |
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投稿者:hyodo