2005年5月10日
谷口吉生のミュージアム
建築家 谷口吉生のミュージアム建築のみに焦点を絞った展覧会へ行って参りました。会場は新宿の東京オペラシティアートギャラリーです。美術展に行って「あぁ、いい展覧会だったな」と良い印象を受けたとき、カタログを買って家で少し読んだりして、物足りなければ再び足を運ぶものですが、この展覧会の場合は再び会場に足を運ぶことは無いでしょう。建物の魅力を伝えるハイビジョン映像やスケールの大きい精巧な模型を見ていると一層物足りなさを感じてしまい、実際に現地に行ってみたいという気持ちが強くなってしまうからです。近いうちに全国に散らばる谷口ミュージアムの巡礼・行脚するつもりです。たぶんニューヨークの MoMA にも行くでしょう。
私の谷口作品への熱情は読者の方には興味無いでしょうから、実際に訪れたことのある谷口ミュージアムの感想を簡単に述べてみたいと思います。
葛西臨海水族館
ここは有名な水族館ですから訪れたことがある方も多いと思う。訪れた当時は谷口の名前さえ知らなかったが、アプローチとガラスドームの入口、カツオが美しく回遊する部屋の印象が強烈に残っている。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
丸亀駅前広場に建物は面しているのだが、猪熊の壁画とそれを覆う深い軒があるだけで、ファサードは無い。軒下はもうひとつの異なる性質を持った広場となっている。似たような形式の建物にフランス・ニームにあるカレ・ダール(設計:ノーマン・フォスター)がある。幾何形態の外観を持つ建築には、ハイテク色を感じる建築が多いが、谷口の建築にはそれはほとんど感じられない。軽く見せるために薄くしたり、純粋に見せるためのディテールの苦心を微塵も感じさせない。スイス系の建築家のようにマッスな印象でもない。真に軽やかな表情を持つ建築なのである。
東京国立博物館法隆寺宝物館
NHK教育テレビの「日曜美術館」に取り上げられたとき、仏像などの展示物の展示方法に本当に驚き、感銘を受けた。照明器具や展示ケースや背景となる壁などが鑑賞者の妨げにならないように、そして鑑賞にのみ集中できるように、考えられうることは全て細部至るまで配慮されている。谷口の目は建築だけでは無くこの建物にあるもの全てに行き届いている。あえて建築については語るまい。何度でも訪れたい建築。
参照記事:
Masslogue 「谷口吉生のミュージアム」展 レポート
はろるど・わーど 「谷口吉生のミュージアム」 東京オペラシティアートギャラリー 5/3
カテゴリー:アート | コメント (8) | 投稿者:hyodo
コメント
「谷口吉生のミュージアム」 東京オペラシティアートギャラリー 5/3
東京オペラシティアートギャラリー(新宿区西新宿)
「谷口吉生のミュージアム -ニューヨーク近代美術館[MoMA]巡回建築展- 」
4/8?6/26
こんにちは。
オペラシティアートギャラリーで開催中の「谷口吉生のミュージアム」を見てきました。
展覧会のスペースの約半分は、MoMAの紹介で占められています。展示室に入ってすぐ目につくのはMoMAの大きな模型です。1929年の創立以来、一度の移転と三度の増改築を行なってきたMoMAは、谷口の手?…
2005年5月11日 @ 9:59 PM
こんばんは。はろるどです。
TBありがとうございました。
また、記事にてリンクを張っていただき、どうもありがとうございます。
>建物の魅力を伝えるハイビジョン映像やスケールの大きい精巧な模型を見ていると一層物足りなさを感じてしまい、実際に現地に行ってみたいという気持ちが強くなってしまうからです。
まさにそうですよね。
展示を見ているうちに、もどかしくなってくるぐらいでした。
建築展は結構フラストレーションがたまります…。
葛西は私も谷口だと知らずに行っていました。
エントランスドームの美しさが印象的で、
公園内のクリスタルビューも同じ質感で美しいですよね。
あれも谷口さんなのだそうです。
ほかのブログの方に教えていただきました。
2005年5月11日 @ 10:05 PM
buraniiさん、はじめまして
ブログ拝見しましたよ。
豊田市美術館は特に観たい作品です。
資生堂と合わせて行こうと思います。
はろるどさん、お久しぶりです。
コメントいただきありがとうございます。
いつもながら記事の充実度に感嘆しております。
今後もTBさせて下さい。
2005年5月12日 @ 12:21 AM
sakura
土手と夕暮れ。
これがいいのかも。
そのうちお菓子の写真もでるかなー?
H氏更新ばりばり。sakuraちょー忙しくて滞ってます。
2005年5月12日 @ 3:14 AM
豊田市美術館、去年のゴールデンウィークにいきました。
建築に関して無知な私ですが、なかに入ったときの柔らかな光り、作品・自分・建物の距離感を心地よく感じていることにはっとしました。そんなふうに思ったことって、いちどもなかったからです。
家に帰って調べ、「谷口吉生」という名前を知りました。
国立博物館法隆寺宝物館、こちらはまだ行ったことがないので近いうちにぜひ行ってみたいです。
2005年5月13日 @ 1:58 PM
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buranii
はじめまして。buraniiです。最近ブログはじめました。豊田市美術館もいいですよ。行ってみてください。
2005年5月11日 @ 1:25 AM