2011年3月16日
東北地方太平洋沖地震に関する現時点でのまとめ
大変な地震でした。僕が住む埼玉県川口市は被災といっても物が落ちて壊れた程度ですが、父が仙台に居ることや建築設計という仕事柄、設計した建物のことはやはり心配になります。記録と気持ちの整理をこのエントリーでしておきたいと思います。
発生時
僕の事務所と同居している「くらしの道具」が kawaguchi 39 ART に参加していることもあり、来客があった。緊急地震速報のサイレンが防災川口のスピーカーから流れたので、警戒した。最初は大したことがないと思っていたのだが、だんだんと揺れが大きくなり、本棚に並べてあった商品の小さな花瓶や酒杯が落下、約20点が破損。書籍の落下は無かった。来客者は KAWAGUCHI ART FACTORY にお住まいで アトリアにお勤めの方で、揺れが収まるとご自宅を心配されて自転車で急いでお帰りになった。
設計した建物の被害
3月11日(金)から12日(土)にかけて、クライアントへ電話にて被害の有無をヒアリングした。
- 埼玉県内(新築2件、改装2件) > 被害無し
- 東京都内(改装2件) > 店舗スケルトン(S造の建物で床:RC、壁・天井:ケイカル板)の壁と内装の取り合い部分にひび割れとの報告1件有り。補修方法はパテ扱き再塗装。修理提案中。
- 千葉県内(新築6件、改装1件) > 店舗併用住宅の店舗木製ドアの本締錠が固くなり開閉し難くなったとの報告が1件有り。修理手配済み。
- 茨城県内(古民家改装2件) > 棟瓦、鬼瓦の落下(2件)、アクリルFIX窓の破損(1件)、室内木製建具の開閉が少しやりにくい(1件)、左官壁のひび割れ(2件)との報告有り。修理手配済み。
- 長野県内(新築1件) > 被害無し
一番心配だった建物は、茨城県潮来市の古民家改装2件。利根川に近くあり、潮来市内の被害の報道映像では、液状化現象が発生したのか、電柱の傾きや道路のヒビなど結構ひどい状況だったので、どうなているのか本当に心配だったが、被害は小さく正直ほっとした。ちなみにクライアントの建物の道路を挟んで向かいの大谷石の蔵は、ある面の壁が倒壊し下に駐車していた乗用車がぺしゃんこになったとのこと。
千葉県香取市も佐原地区でも道路の陥没、古い土葺きの瓦の落下など結構被害が大きいらしいが、僕が設計した建物は、新築木造で、2000年の建築基準法改正以降の設計ということもあり、千葉県香取市内の店舗併用住宅の店舗木製ドアの本締錠が固くなり開閉し難くなったという被害のみだった。
マンション高層階では揺れがひどかったとマンションに住む友人たちから聞いていたので、都内の築40年のマンション改装物件(壁もスラブも150ミリ有るか無いかの建物で、春日通りに大きなトラックが通ると振動が伝わってくる)は13階にあり、被害があったろうと思ったが、あまり揺れなかったらしく被害は無く、落下物も無かったとのこと。湯島天神の切り通しにあるマンションなので地盤が固く丈夫なのだろう。
以上、緊急に現地を視察する物件は無いが、修理の際には現地を見に行く予定。
家族
発生時、僕は、妻とお客さんと事務所兼「くらしの道具」に居た。兵藤事務所のある実家1階には、母と息子(生後8か月)が居たが、落下物も怪我も無かった。
仙台(太白区)の父は、身障者自立支援施設に居た。当日中に公衆電話から連絡あり。水道・電気は使えなくなったらしい。暖房設備が夜間電力の蓄熱式床暖房なので、寒さに弱い父が心配。3月15日に電気が復旧との連絡が入り、少しホッとする。未だに近所の小学校に給水所が設けられているので、水道はまだ復旧していないようだ。
※追記:太白区茂庭台地区は、3月31日復旧予定。
地震に関する情報源
下記のサイトの情報が役に立った。
役に立たないサイト
川口市役所、埼玉県庁、さいたま市役所、東京電力、東北電力
どこも週明けまで、災害情報を流さなかった(東北電力は不明)。災害情報は一刻を争うことがあるので、ウェブ制作会社に頼ることなく、職員がウェブページを更新できるようにするべきだと思う。ブログサービスや Facebook(登録制なので問題はあると思うが) などを利用すれば、担当職員が登庁しなくても、とりあえず告知はできる。
また災害時ページは事前に用意されているページでも良いが、災害時モードになっていることを(バナーのみ設置するとかで構わないので)わかるようにしてほしい。そうしないと本当に機能しているのかどうかがわからない。埼玉県庁はブログを使用して、最新情報を更新しやすいようにしているのは評価できる。が楽天ブログなので、県庁なんだから商業的な臭いのしないWordPress のホスティングサービスなどを利用した方がいい。
東北電力は現在の停電地域を県単位ではなく、せめて市区町村単位にして発表して欲しい。「宮城県全域110万戸で停電」といわれてもそんな情報は地震当日に災害規模を確認することにしか役に立たず、復旧開始後は、意味の無い情報だ。ちなみに仙台市水道局は地区毎の状況や給水所をきちんと発表している。
東京電力は、福島原発の状況を隠さず、情報加工せずに、すべての生の情報だけを発表すればよい。事実がゆがめられているので、その影響は株式・為替市場にまで及んでいる。今更、上層部の引責や原発設計の問題隠ぺいをしても意味がない。各放射線測定値やライブカメラも公表すべき。風向測定が装置が壊れてできないというのも嘘っぽく聞こえる。壊れたのなら急いで設置すればよいのでは?輪番停電に関しても、各エリア担当者と官公庁との連絡を密にしてほしい。政府に一般的な情報のFAXを送りつけたようだが、そのような行為は政府だけでなく、国民をもバカにしている。まぁ今回よくわかったことは、電力会社というものは、命令系統、情報統制が取れていない組織である、ということである。
以上です。
カテゴリー:建築, 雑記 | コメント (0) | 投稿者:hyodo
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